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PCXのエンジンオイルおすすめガイド!失敗しない選び方と交換方法

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PCXのエンジンオイルおすすめガイド!失敗しない選び方と交換方法

「そろそろPCXのオイル交換だけど、いつも通りでいいのかな…」 そんな風に、なんとなくエンジンオイルを選んでいませんか?

愛車の心臓部とも言えるエンジンを守るオイル選びは、実はあなたのバイクライフを大きく左右する重要な選択です。

「純正が一番安心?」「10W-30と10W-40、粘度の数字って何が違うの?」「夏場のツーリングには硬いオイルが良いって本当?」――そんな尽きない疑問や小さな不安を抱えたままでは、愛車が持つ本来の性能を100%引き出せていないかもしれません。

この記事では、そんなあなたの「なんとなく」を「確信」に変えるため、PCXのエンジンオイル選びに関する全知識を徹底的に解説します。

オイル選びの核心である粘度や規格の話から、交換時期や必要な量、気になるお店での料金相場まで、この記事一本ですべてが解決。

あなたの乗り方と予算に完璧にマッチした、最高のオイルを見つけ出しましょう。

この記事でわかること
  • PCXに最適なエンジンオイルの選び方がわかる
  • 純正オイルと社外品オイルの違いと特徴を理解できる
  • 適切なオイル交換の時期や量の目安がわかる
  • お店に依頼した場合の料金相場と自分で交換する際の流れを把握できる
目次

PCXエンジンオイルおすすめの選び方

PCXエンジンオイルおすすめの選び方
  • 基本となるエンジンオイルの粘度
  • 夏場に検討したい10w-40オイル
  • まずはホンダ純正オイルを検討
  • JASO規格とAPI規格の違い
  • 性能と価格を左右するベースオイル
  • 結局PCXおすすめのオイルはこれ

基本となるエンジンオイルの粘度

エンジンオイルを選ぶ上で、最も基本的かつ重要な指標となるのが「粘度」です。オイルの容器を手に取ると、必ず「10W-30」や「5W-40」といった表記が目に入ります。これは「SAE規格(米国自動車技術者協会規格)」という世界共通の基準で定められたオイルの硬さを示すもので、この数字とアルファベットが持つ意味を正確に理解することが、適切なオイル選びのスタートラインとなります。

この表記があるオイルは「マルチグレードオイル」と呼ばれ、低温時と高温時で異なる粘度特性を持つように設計されています。これにより、かつてのように季節ごとにオイルを入れ替える必要がなく、一年を通して安定した性能を発揮できるのです。

「W」の前後の数字の意味

  • Wの前の数字(例:10W):低温時の性能この数字は低温環境下でのオイルの粘度を示しており、「Winter(冬)」の頭文字であるWが付けられています。この数字が小さいほど、オイルは低温でも硬くなりにくく、よりサラサラした状態を保つことができます。エンジン始動直後はオイルがエンジン全体に行き渡っておらず、部品同士が直接摩耗しやすい最も過酷な時間帯です。低温でも柔らかいオイルは、始動後すぐにエンジン各部へ到達するため、内部の摩耗を最小限に抑え、冬場のスムーズなエンジン始動、つまり始動性の向上に大きく貢献します。
  • Wの後ろの数字(例:-30):高温時の性能こちらはエンジンが十分に暖まった高温状態でのオイルの粘度を表します。この数字が大きいほど、オイルは高温になっても粘性を失いにくく、強固な潤滑の膜(油膜)を維持できます。エンジン内部では、ピストンとシリンダーが超高速で往復運動をしています。この金属同士が直接触れ合わないように保護しているのが油膜の役割です。高速走行時や夏場の渋滞など、エンジンが高温になる状況では、この油膜が切れやすくなります。高温時粘度が高いオイルは、このような過酷な状況でも強靭な油膜を保ち、エンジンを焼き付きなどの深刻なダメージからしっかりと保護する能力が高まります。

PCXの取扱説明書では、推奨粘度として「10W-30」が指定されています。これは、日本の平均的な気候において、冬場の始動性から夏場のエンジン保護性能まで、燃費と性能のバランスを最も高い次元で両立できるようにホンダが設計・テストを重ねて導き出した最適値です。特別なこだわりや過酷な使用環境でない限りは、このマニュアル指定の粘度を守ることが、愛車のコンディションを長期にわたり良好に保つ最も確実な鍵となります。

夏場に検討したい10w-40オイル

基本はマニュアルで推奨されている10W-30が最適解ですが、ライダーの乗り方や季節、そしてフィーリングの好みによっては、高温時粘度を一段階上げた「10W-40」のオイルを検討する価値があります。前述の通り、10W-40は10W-30と比較して高温時の油膜がより強固であるという特徴を持っています。

この特性は、特にエンジンが高温になりやすいシチュエーションで大きなメリットとして現れます。具体的には、真夏の炎天下での渋滞路走行、峠道での急な登り坂が続く場面、あるいは長距離ツーリングで高速道路を長時間巡航する際など、エンジンに高い負荷がかかり続ける状況です。このような場面では、10W-40オイルが持つ強力な油膜保持性能が、エンジン内部の部品を熱ダレから守り、より高いエンジン保護性能とライダーの安心感につながります。人によっては、エンジンからのメカニカルノイズが静かになったり、吹け上がりが滑らかになったように感じられたりすることもあるでしょう。

一方で、メリットばかりではありません。粘度が高いということは、それだけエンジン内部での攪拌抵抗が大きくなることを意味します。これにより、理論上は燃費がわずかに悪化する可能性があります。ただし、その差は日常的な走行で体感できるほど大きなものではないことがほとんどです。また、冬場やエンジンが完全に冷え切っている状態からの始動直後は、オイルが硬いために少しもたつきを感じたり、暖機運転に通常より少し時間が必要になったりすることもあります。

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粘度主なメリット主なデメリットこんなライダーにおすすめ
10W-30・燃費性能に優れる ・始動性が良く年間を通して安定的
・メーカー指定の安心感
・極端な高負荷時には油膜の強さに不安が残る場合も・街乗りや通勤がメイン
・燃費を重視する ・標準的な性能で満足
10W-40・高温時のエンジン保護性能が高い
・高負荷時の熱ダレに強い
・エンジンノイズが低減されることも
・燃費がわずかに悪化する可能性
・冬場の始動時にやや重さを感じることも
・夏場のツーリングや渋滞走行が多い
・エンジン保護性能を最優先したい

このように言うと、どちらが良いか一層迷うかもしれませんが、基本的な考え方はシンプルです。まずはメーカーが指定する10W-30を基準とし、ご自身の乗り方が特にエンジンにとって過酷だと感じる場合や、より高い保護性能を求めてみたいという場合に、一度10W-40を試してみる、というスタンスで臨むのが良いでしょう。

まずはホンダ純正オイルを検討

市場には多種多様なエンジンオイルが溢れており、どれを選べば良いか迷った場合、最も確実で間違いのない選択肢は、やはりホンダの純正オイルです。純正オイルは、PCXというバイクを開発したメーカー自身が、そのエンジンの特性を誰よりも深く理解した上で、性能を100%引き出せるように最適化して作られています。長期間にわたる厳しい開発テストで使用され、耐久性や各部品との相性もすべて検証済みのため、性能や信頼性においてこれ以上の安心感はありません。

2025年には、ホンダの4サイクルバイク用オイルは環境性能への配慮とエンジン性能の最大化を目指し、「Pro Honda」という新ブランドにリニューアル・統一されました。PCXのようなCVTを採用するスクーターには、エンジン内部のフリクションロスを低減し燃費を向上させる、低摩擦特性を持つ「MB規格」のオイルが推奨されています。

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旧ブランド (参考)新ブランド (現行)
ブランド名Honda ウルトラE1Pro Honda SCOOTER
粘度10W-305W-30
ベースオイル鉱物油部分化学合成油
JASO/API規格MB / SLMB / SL
主な特徴PCXの標準指定オイル。経済性に優れる。低温始動性と燃費性能を強化した高性能オイル。

PCXの標準オイルとして長年親しまれてきた鉱物油ベースの「ウルトラE1」に代わり、新ブランドではスクーター専用の「Pro Honda SCOOTER 5W-30」が主力となっています。これは部分化学合成油をベースとし、低温時の粘度を5Wとすることで、特にエンジンが冷えている状態からの始動性を向上させ、燃費性能をさらに強化した高性能マルチタイプオイルです。

社外品のオイルには、特定の性能(例えば、高回転域でのレスポンスなど)に特化した魅力的な製品も多く存在します。しかし、まずは全ての基本となる純正オイルを基準としてその性能やフィーリングを体感し、そこからご自身の乗り味の好みや予算に応じて、他のオイルを試していくのが、失敗のないオイル選びの王道と言えます。

JASO規格とAPI規格の違い

エンジンオイルの容器には、前述した粘度表記の他に、「JASO MB」や「API SL」といったアルファベットの羅列が記載されています。これらはオイルの性能を客観的に示す重要なグレード(等級)であり、それぞれの規格が持つ意味を理解しておくことで、より深く、そして正確に自分のPCXに合ったオイルを選ぶことが可能になります。

JASO規格:バイク特有のクラッチとの相性を示す

JASO規格は、日本の自動車技術会(Japanese Automotive Standards Organization)が定めた、世界でも広く認知されている二輪車専用のオイル規格です。この規格の最大の特徴は、バイクの生命線とも言えるクラッチとの相性、すなわち「摩擦特性」を明確に分類している点にあります。

  • MA / MA1 / MA2: これらは摩擦特性が高く設定されており、オイルが潤滑する湿式多板クラッチが「滑らない」ように設計されたオイルです。エンジンオイルでトランスミッションのギアとクラッチの両方を潤滑するマニュアル(MT)車には、このMA規格のオイルが必須となります。MAの中でもMA2が最も摩擦特性が高く、大排気量車などに適しています。
  • MB: こちらはMAとは逆に、摩擦特性を意図的に低く設定したオイルです。オイル自体がサラサラしていて抵抗が少なくなるように、特殊な摩擦調整剤が配合されています。クラッチの潤滑をエンジンオイルで行わないスクーター(AT車)や、乾式クラッチを採用する一部のバイク専用の規格で、エンジン内部のフリクションロス(摩擦によるエネルギー損失)を低減し、燃費を向上させる効果があります。

PCXは遠心クラッチとVベルト式のCVT(無段変速機)を搭載したスクーターなので、クラッチ滑りの心配がありません。そのため、エンジン性能と燃費を最大限に引き出すことができる、低摩擦設計の「MB」規格がメーカーによって推奨されています。

絶対に覚えておくべきことは、MT車にMB規格のオイルを使用してはならない、という点です。クラッチが滑ってしまい、加速不良や部品の異常摩耗といった深刻なトラブルに直結します。逆に、PCXにMA規格のオイルを使用しても直ちにエンジンが壊れるようなことはありません。しかし、本来必要のない高い摩擦特性によってエンジン内部の抵抗が増え、燃費が悪化したり、本来のスムーズな加速感が損なわれたりする可能性があるため、やはりMB規格を選ぶのが最善です。

API規格:オイルの総合的な基本性能を示す

API規格は、アメリカ石油協会(American Petroleum Institute)が定めた、自動車用オイルの世界的な標準規格です。この規格は、オイルが持つ基本的な性能、具体的には「エンジン内部の洗浄性」「酸化に対する安定性」「摩耗防止性」などを総合的に評価し、グレード分けしています。ガソリンエンジン用は「S」から始まる記号(例:SL, SM, SN, SP)で表され、アルファベットの順番が進むほど新しい規格となり、性能も高くなります。

  • SL (2001年制定): PCXのマニュアルで指定されている基準グレード。基本的な性能を満たしています。
  • SM (2004年制定): SLに比べ、酸化安定性やデポジット(汚れ)抑制性能が向上。
  • SN (2010年制定): SMよりさらに省燃費性能の持続性、触媒保護性能などが強化。
  • SP (2020年制定): 最新規格。エンジンの小型化・直噴化に対応し、異常燃焼(LSPI)の防止性能やタイミングチェーンの摩耗防止性能が大幅に向上。

PCXのマニュアルでは「SL級」以上が指定されていますが、これは「最低でもこのレベルはクリアしていてください」という意味です。現在、市場に流通しているほとんどのオイルはSN級以上であり、SL級の製品を探す方が難しいくらいです。

したがって、より上位のSN級やSP級のオイルを使っても全く問題はなく、むしろエンジンにとって多くのメリットがあります。例えば、より高い洗浄性能により、ピストンリング周辺にスラッジ(燃えカスなどの汚れ)が溜まるのを防ぎ、エンジンの性能低下を長期間抑制する効果が期待できます。規格が新しいほど、より厳しい基準をクリアした高性能なオイルであると理解しておくと良いでしょう。

性能と価格を左右するベースオイル

市販されているエンジンオイルは、その大部分を占める主成分「ベースオイル」に、酸化防止剤や洗浄分散剤といった様々な機能を持つ「添加剤」をブレンドして作られています。このベースオイルには、その製造方法によって大きく分けて3つの種類があり、どのベースオイルが使われているかによって、オイルの根本的な性能と価格帯が大きく変わってきます。

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ベースオイルの種類製造方法・原料メリットデメリット交換サイクルの目安
鉱物油原油を蒸留し、不純物を取り除いて製造・価格が圧倒的に安い ・粘度が高く、旧車のシール類との相性が良い場合がある・分子構造が不均一で性能は標準的 ・熱や酸化による劣化が比較的早い3,000km or 半年
化学合成油原油を高度に分解・再合成、あるいは人工的に化学合成・分子構造が均一で高性能 ・熱や酸化に非常に強く、劣化しにくい ・高い潤滑性能とエンジン保護性能を持つ・製造コストがかかり、価格が高い5,000km or 1年
部分合成油鉱物油をベースに、化学合成油を20%以上ブレンド・性能と価格のバランスが非常に良い・良くも悪くも中間的な性能と価格3,000~5,000km or 半年

PCXの標準オイルとして長年採用されてきたウルトラE1は、この中で最もベーシックな「鉱物油」であり、十分な性能を確保しつつ経済性に優れているのが特徴です。

一方で、最も高性能なのが「化学合成油」(全合成油、100%化学合成油とも呼ばれる)です。これは原油を高度な技術で分子レベルまで分解し、不純物を徹底的に排除した上で再合成(グループIII)、あるいはナフサから人工的に合成(グループIV/PAO、グループV/エステル)したベースオイルです。分子の大きさや構造が均一に揃っているため、非常に滑らかな潤滑性能を発揮し、熱や圧力に対する安定性が極めて高いのが特徴です。過酷な条件下でも安定した性能を長期間維持し、エンジンを強力に保護します。

そして、「部分合成油」は、鉱物油と化学合成油を良いとこ取りしたハイブリッドなベースオイルです。鉱物油のコストメリットを活かしつつ、化学合成油をブレンドすることで性能を底上げしており、性能と価格のバランスに優れています。

「高価な化学合成油をメーカー指定のサイクルで交換する」のと、「安価な鉱物油をその半分のサイクルで頻繁に交換する」のとどちらが良いか、という議論は尽きません。一概にどちらが絶対的に正しいとは言えませんが、基本的にはメーカーが指定するグレード以上のオイルを、推奨されるサイクルできちんと交換し続けることが、エンジンを長持ちさせる上で最も大切なことです。その上で、予算に余裕があれば、化学合成油がもたらすスムーズな吹け上がりや高い保護性能を体感してみるのも、バイクライフの楽しみ方の一つでしょう。

結局PCXおすすめのオイルはこれ

ここまで解説してきた「粘度」「規格」「ベースオイル」という3つの知識の柱を踏まえると、あなたのPCXにとって最適なおすすめのオイルは、あなたが「どのような乗り方をするか」「何を最も重視するか」というライフスタイルや価値観によって、その答えが変わってくることがお分かりいただけたかと思います。

ここでは、いくつかのライダータイプを想定し、それぞれに最適なオイル選びの指針を提案します。

タイプ1:街乗り・通勤メインで「コストパフォーマンスと安心感」を重視するなら

このタイプの方には、ホンダ純正 Pro Honda SCOOTER が最もおすすめです。バイクを開発したメーカー自身がPCXのエンジンに合わせて最適化したオイルであり、品質、性能、耐久性の全てにおいて間違いのない選択です。価格も部分合成油としては標準的で、トータルでのコストパフォーマンスは非常に高いと言えます。オイル選びで迷ったら、まずはこれを選んでおけば、まず後悔することはないでしょう。

タイプ2:週末のツーリングが趣味で「燃費やスムーズな走り」を追求するなら

エンジン性能をより引き出し、滑らかなライディングフィールを求めるなら、JASO MB規格の高品質な化学合成油が選択肢になります。例えば、世界的なオイルブランドであるMOTULの「スクーターパワーLE 5W-40」や、MotoGPなどレースシーンでの実績が豊富なREPSOLの「スマーター マチックMB 10W-30」などが代表的です。これらのオイルは、フリクションロスを極限まで低減することで、アクセルレスポンスの向上や、さらなる省燃費性能に貢献するとされています。価格は高めになりますが、走りの質にこだわりたい方には試す価値のある選択です。

タイプ3:とにかく「経済性」を最優先するなら

日々の維持費を少しでも抑えたい場合は、JASO MB規格を満たした信頼性のある鉱物油が良い選択肢となります。前述の通り、PCXの指定グレードはSL級であり、基本的な性能を満たしていれば問題ありません。例えば、ヤマハの純正スクーター用オイル「ヤマルーブ Red ver. スクーター」や、スズキの「エクスター R5000 MB」といった他メーカーのスクーター用純正オイルも、規格さえ合っていればPCXに使用することが可能です。これらは比較的リーズナブルな価格で入手できることが多いです。ただし、鉱物油を選ぶ際は、化学合成油に比べて劣化が早いため、交換サイクルを少し短め(3,000km毎など)に設定することが、エンジンを良好に保つ秘訣です。

最終的には、まず全ての基準となるホンダ純正オイルを一度は使用してみて、そのフィーリングを基準点とします。その上で、「もう少しレスポンスが欲しい」「夏場の安心感が欲しい」といった具体的な要望が出てくれば、ご自身のバイクライフに合わせて様々な社外品オイルを試していく、というアプローチが、オイル選びの面白さを最も感じられる方法でしょう。

実践!PCXエンジンオイルおすすめ交換ガイド

実践!PCXエンジンオイルおすすめ交換ガイド
  • オイル交換で必要なオイルの量
  • 適切なエンジンオイルの交換時期
  • 店舗でのオイル交換 料金の目安
  • スクーターに車用オイルは使える?

オイル交換で必要なオイルの量

PCXのエンジンオイルを交換する際に、正しい量を注入することは、適切なオイルを選ぶことと同じくらい非常に重要です。オイルが規定量より少なすぎると、潤滑や冷却が不十分になり、最悪の場合はエンジンが焼き付くといった致命的な故障の原因となります。逆に、多すぎてもエンジン内部の抵抗が増えてパワーダウンや燃費の悪化を招くだけでなく、内部の圧力が上がりすぎてオイルシールなどからオイルが漏れ出すトラブルにつながる可能性もあります。

PCXのオイル量は、モデル(型式)によって厳密には多少異なりますが、近年の主要モデルでは以下のようになっています。

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型式 (参考)モデル名通常のオイル交換時ストレーナー清掃時
JF81 / JF84PCX125 / HYBRID0.8 L0.9 L
JK05 / JK06PCX125 / HYBRID0.8 L0.9 L
KF30PCX1500.8 L0.9 L
KF47PCX1600.8 L0.85 L

これはあくまで目安であり、最も確実なのはご自身の愛車の取扱説明書で正確なオイル量を確認することです。

交換作業後は、必ずエンジンを数分間アイドリングさせてオイルを循環させた後、エンジンを停止し、数分待ってからオイルレベルゲージを使って量が規定範囲内に収まっているかを確認する習慣をつけましょう。

オイルレベルゲージの正しい確認方法

  1. 車両を平坦な場所にセンタースタンドで立てます。
  2. オイルレベルゲージ(黒い樹脂製のキャップ)を緩めて引き抜きます。
  3. 一度ウエス(布)などでゲージに付着したオイルをきれいに拭き取ります。
  4. ゲージをねじ込まずに、奥までまっすぐ差し込みます。
  5. 再びゆっくりと引き抜き、ゲージの先端に付着したオイルの跡が、上限(F / FULL)と下限(L / LOW)の間にあれば適量です。

この「ねじ込まない」という点が非常に重要で、ねじ込んでしまうと実際の油面より高く測定されてしまい、正しい量を判断できなくなるので注意が必要です。

適切なエンジンオイルの交換時期

エンジンオイルは、走行距離が伸びるにつれてエンジン内部の熱や圧力、そして燃焼によって発生する水分やカーボンなどによって汚染され、徐々に劣化していきます。劣化したオイルは本来の潤滑性能や洗浄性能を失っていくため、定期的な交換が愛車のコンディションを維持する上で不可欠です。交換時期の目安は、「走行距離」と「経過時間」の両方の側面から考える必要があります。

ホンダが公式に推奨している交換時期は以下の通りです。

  • 初回:1,000 km走行時 または 1ヶ月後
    • 新車時はエンジン内部の金属部品同士が馴染む過程で微細な金属粉が発生しやすいため、早めの交換が推奨されます。
  • 2回目以降:6,000 km走行ごと または 1年ごと
    • どちらか早く到達した方で交換します。

ただし、これはあくまで一般的な使用状況を想定した目安です。バイクにとってより厳しい使われ方、いわゆる「シビアコンディション」に該当する場合は、オイルの劣化が通常よりも早まるため、より短いサイクルでの交換が望ましいとされています。

シビアコンディションの具体例

  • 発進・停止を繰り返す渋滞路や市街地での走行が多い
  • 1回の走行距離が8km以下と短い(エンジンが十分に暖まらない)
  • 急な坂道の上り下りが頻繁にある
  • 常に高回転域を多用するスポーティな走行が多い
  • 悪路やホコリの多い場所を走ることがある

これらの状況に当てはまる場合は、メーカーの推奨時期を待たず、多くの経験豊富なライダーが実践している**「3,000 km走行ごと、または半年ごと」**を目安に交換するのが賢明です。早めのオイル交換は、エンジン内部を常にクリーンに保ち、部品の摩耗を防ぎ、バイク本来の性能を長期間にわたって維持するための、最も効果的でコストパフォーマンスの高いメンテナンスと言えるでしょう。走行距離だけでなく「時間」も基準となるのは、オイルが空気に触れているだけでも酸化して劣化が進むためです。

店舗でのオイル交換 料金の目安

エンジンオイル交換は、必要な工具を揃えれば自分で行う(DIY)ことも可能ですが、工具の初期投資や作業の手間、そして最も面倒な廃油の処理などを考えると、プロであるお店に依頼するのが最も手軽で確実な方法です。バイク用品店やホンダの正規ディーラーなどで交換を依頼した場合の料金相場は、選ぶオイルの種類や店舗の方針によって異なります。

料金の内訳は、基本的に**「オイル代」+「交換工賃」**の合計金額となります。

  • 交換工賃の相場: 1,000円~2,000円程度が一般的です。店舗によっては、オイルフィルターがないスクーターは安く設定されている場合もあります。
  • オイル代: 1リットルあたり1,500円(鉱物油)~3,500円(高性能な化学合成油)程度と、選ぶオイルによって幅があります。PCXは約0.8Lなので、1L缶を購入することになります。

これらのことから、総額としてはおおよそ2,500円~5,500円程度を見ておくと良いでしょう。例えば、ホンダ純正のPro Honda SCOOTER(1Lあたり約2,000円)を選んだ場合、工賃と合わせて3,000円~4,000円が一般的な目安となります。

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店舗の種類メリットデメリット
ホンダ正規ディーラー・純正部品使用で安心感が最も高い
・PCXの構造を熟知している
・他の箇所の点検も同時に依頼できる
・工賃がやや割高な傾向がある
・選べるオイルは純正品に限られることが多い
大手バイク用品店・オイルの種類が豊富で選択肢が多い
・オイル会員などで工賃が割引になることがある
・セールなどでオイルが安く買える場合がある
・混雑時は待ち時間が長くなることがある
・作業の質はピットスタッフによる可能性がある

お店によっては、自店でオイルを購入した顧客に対して交換工賃を無料または割引にするサービスを実施していることもあります。費用を抑えたい場合は、そうしたキャンペーンをうまく活用するのも一つの手です。ディーラーでの交換は少し割高になる傾向がありますが、メーカーの専門的なトレーニングを受けた整備士が作業を行い、バイクの状態を総合的にチェックしてもらえるという、価格以上の安心感が得られます。

スクーターに車用オイルは使える?

ガソリンスタンドやカー用品店などで、バイク用に比べて安価に販売されている4輪車用のエンジンオイル。「同じ4サイクルエンジンなのだから、バイクにも使えるのでは?」と考えたことがある方も少なくないでしょう。結論から言うと、PCXのようなスクーターには「物理的には使用可能だが、バイクの性能と寿命を考えると絶対に推奨できない」というのが専門家の一致した見解です。

前述の通り、マニュアルトランスミッション(MT)のバイクは、エンジンとクラッチ、トランスミッションを同じオイルで潤滑しているため、摩擦特性の低い車用オイルを使うとクラッチが滑ってしまい、全く使用できません。一方、PCXのようなスクーターはその心配がないため、緊急時などに一時的に使用しても、すぐに走行不能に陥ることはないでしょう。

しかし、バイクのエンジンと車のエンジンとでは、その設計思想と使用環境が根本的に異なります。バイクのエンジンは、一般的に車よりもはるかに高回転まで回り、単位排気量あたりの出力も高く設定されています。この高回転・高負荷という過酷な状況下で、オイルには極めて高い「せん断安定性(高回転でかき混ぜられても粘度が低下しにくい性能)」が求められます。

バイク専用オイルは、こうしたバイク特有の環境を想定し、せん断安定性を高める添加剤や、ミッションのギアを保護するための極圧添加剤などが特別に配合されています。対して、近年の車用オイルは、何よりも省燃費性能を重視するため、粘度を下げ、摩擦を低減させるための添加剤が主流です。

このような成分の違いから、車用オイルをバイクに長期間使用し続けると、高温高回転時に油膜が保持できずにエンジン内部の摩耗を促進したり、バイクには不要な添加剤がスラッジとして堆積したりと、エンジンの性能を十分に発揮できないばかりか、長期的に見て故障のリスクを高め、寿命を縮めてしまう可能性があります。わずかな価格差を惜しんだ結果、高額な修理費用が必要になってしまっては本末転倒です。やはり「餅は餅屋」の言葉通り、バイクにはバイクのために開発された専用のオイルを使用することが、愛車を長く大切に乗るための最も賢明な選択です。

総括!PCXエンジンオイルおすすめの結論

  • PCXのエンジンオイル選びは粘度、規格、ベースオイルの理解が基本
  • 推奨粘度は日本の気候に適した10W-30
  • 夏場の高速走行など過酷な状況では10W-40も選択肢になる
  • 10W-40はエンジン保護性能が高いが燃費が若干落ちる可能性がある
  • オイル選びに迷ったらホンダ純正オイルが最も安心
  • スクーター用のJASO規格は低摩擦で燃費に優れるMB
  • MT車用のMA規格オイルをPCXに使っても壊れないが推奨されない
  • API規格はオイルの基本性能を示しSL級以上なら問題ない
  • ベースオイルは価格の鉱物油、性能の化学合成油、バランスの部分合成油の3種
  • 乗り方や予算に応じて最適なオイルは変わる
  • オイル交換時の規定量は0.8Lが基準
  • オイルの入れすぎも少なすぎもエンジントラブルの原因
  • 交換時期のメーカー推奨は6,000kmまたは1年ごと
  • より良いコンディションを保つなら3,000kmまたは半年ごとの交換がおすすめ
  • 店舗での交換料金はオイル代と工賃込みで2,500円から5,500円が相場
  • PCXに車用オイルは使えるがバイク専用品に比べ性能が劣り推奨されない
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