こんにちは。デジタルバイクライブラリー、運営者の「ゆう」です。
クロスカブの購入を検討している方やオーナーになったばかりの方にとって、クロスカブの盗難率やランキングの傾向は非常に気になるポイントですよね。
「自分の地域は大丈夫かな」「どんな対策をすればいいんだろう」と不安を感じている方も多いはずです。
実は、クロスカブを含むホンダ車は人気ゆえに狙われやすい傾向にありますが、正しい知識と防止策を講じることでリスクを大幅に減らすことができます。
この記事では、なぜ狙われるのかという根本的な原因から、今日からできる具体的な守り方までをわかりやすく解説していきます。
- なぜクロスカブが窃盗団に狙われやすいのか、その市場価値と理由
- 車体の軽さが招くリスクと、それを防ぐ物理的な対策手法
- AirTagやアラームなど、最新の防犯グッズの効果的な使い方
- 万が一の被害に備えて知っておくべき盗難保険の選び方
クロスカブの盗難率が高い理由

「まさか自分が」と思う前に知っておきたいのが、クロスカブを取り巻く厳しい現実です。ここでは、なぜクロスカブがこれほどまでに窃盗団のターゲットにされてしまうのか、その背景にある市場価値や構造的な理由について深掘りしていきます。
ホンダ車の盗難ランキング傾向

まず衝撃的な事実をお伝えしなければなりませんが、各種盗難保険のデータや統計を見ると、ホンダ車は常に盗難ランキングの上位、時にはワースト上位を独占する傾向にあります。これはホンダのバイクが悪いわけではなく、むしろ逆で「世界的に人気がありすぎる」ことが原因なんです。
一般的に、泥棒が盗む対象を選ぶとき、「どれだけ簡単に盗めるか」と同じくらい、「どれだけ確実に、高く売れるか」を重要視します。その点において、ホンダのバイク、特にスーパーカブシリーズやPCXといった車種は、日本国内だけでなく海外、特に東南アジア圏での信頼性が絶大です。
「壊れにくい」「燃費が良い」「部品が手に入りやすい」というメリットは、そのまま窃盗団にとっての「売りやすさ」に繋がってしまいます。クロスカブもこのカブシリーズの系譜にあるため、悲しいことに「ホンダの原付二種」というだけで、他メーカーのバイクよりも盗難リスクのベースラインが高くなってしまっているのが現状です。
実際に、警察庁の統計データなどを見ても、オートバイ盗の認知件数は減少傾向にあるとはいえ、特定の人気車種への被害は依然として集中しています。特に部品の汎用性が高いカブシリーズは、車体そのものとしてだけでなく、「部品の集合体」としても価値を持ってしまっています。
例えば、盗まれたクロスカブがそのままの姿で中古車市場に出てくることは稀で、多くの場合は即座に解体され、エンジン、フレーム、外装パーツなどがバラバラにされて流通します。こうなると足がつきにくく、犯人にとってはリスクの低い「商品」となってしまうのです。
私がこのサイトを運営していて感じるのは、カブ主(カブオーナー)の方々は非常に愛着を持って乗られている方が多いということ。それだけに、こうした組織的な犯罪のターゲットになりやすいという事実は、本当に許しがたいものがあります。
| メーカー | 盗難リスク評価 | 主な要因 |
|---|---|---|
| HONDA | 極めて高い | 世界的なブランド力、部品需要、海外輸出ルートの確立 |
| KAWASAKI | 高い | 旧車やZシリーズなどのプレミア価格高騰による標的化 |
| YAMAHA | 高い | SR400やスクーターなどの根強い人気モデルが存在 |
ここがポイント
「ホンダだから安心」ではなく、「ホンダだからこそ狙われる」という意識転換が必要です。品質が良いからこそ、悪意ある者たちにとっても魅力的な商材になってしまっているという皮肉な現実を、まずは直視することから防犯対策は始まります。
買取相場の高騰と高い換金性

盗難犯罪の多くは、実はお金に変えることを目的とした「ビジネス」として行われています。ここで問題になるのが、クロスカブの驚くほど高いリセールバリュー(再販価値)です。皆さんも中古車サイトを見ていて、「中古なのに新車とあまり値段が変わらないな」と感じたことはありませんか?
中古市場のデータを分析してみると、状態の良いクロスカブ110の買取相場は20万円から30万円を超えるケースも見られます。特に人気カラーや限定モデル、低走行の車両は引く手あまたです。これは新車価格と比べても値落ちが非常に少なく、いわば「現金20万円の束が道端に置いてある」のと同義と捉えられてしまうこともあります。
窃盗犯の視点に立って考えてみましょう。彼らにとって、数分間のリスクを冒して鍵を壊し、バイクを運び出すだけで、即座に数万円から数十万円の利益が確定するわけです。これは他の犯罪、例えば空き巣やひったくりなどと比較しても、極めて「コストパフォーマンス(=リスクに対するリターン)」が良い行為だと映ってしまいます。さらに、最近の円安傾向も相まって、海外バイヤーからの買取需要も高まっています。日本国内でさばくよりも、コンテナに詰め込んで海外へ送ってしまった方が、より高値で、しかも安全に現金化できるルートが出来上がっているのです。
犯人にとっての「クロスカブ」とは
私たちにとっては愛すべき相棒ですが、彼らにとっては単なる「換金性の高い商材」でしかありません。特に、クロスカブのような趣味性の高いバイクは、オーナーが大切に扱っていることが多いため、状態が良い個体が多いことも知られています。「クロスカブ=極上の中古車」という図式が彼らの頭の中にあるため、街中で見かけると無意識にターゲットとして値踏みされてしまうのです。この高い換金性が、プロの窃盗団だけでなく、地元の不良グループや出来心での犯行をも誘発する大きな要因となっています。
また、こうした経済的な動機による犯罪は、景気の動向や中古車相場の変動と密接にリンクしています。半導体不足などで新車の納期が遅れている時期などは、すぐに手に入る中古車の価値が跳ね上がり、それに比例して盗難件数が増加するというデータもあります。クロスカブオーナーである私たちは、常に自分のバイクが「走る資産」であることを自覚し、その資産を守るためのコストを惜しんではいけないのです。
(出典:警察庁『犯罪統計資料』)
車重の軽さと積み込み被害のリスク
クロスカブ110の車両重量は約107kg。この「軽さ」は、私たちライダーにとっては取り回しが楽で、気軽に乗れる最高なメリットですが、防犯の観点から見ると最大の弱点になり得ます。ここが大型バイクの盗難対策とは決定的に異なる点です。
多くの人がイメージするバイク盗難は、鍵穴をこじ開けてエンジンをかけ、そのまま乗って逃げるというスタイルかもしれません。しかし、現在の主流、特にプロの窃盗団の手口はもっと乱暴で合理的です。彼らは、ハイエースなどのワンボックスカーや軽トラックで現場に現れ、数人がかりでバイクを持ち上げて荷台に積み込み、そのまま走り去る「積み込み窃盗」を行います。
この手口を使われると、ハンドルロックはもちろん、ディスクロックやブレーキレバーロックといった「タイヤが回らないようにするロック類」はほとんど無力化されてしまいます。なぜなら、タイヤを回す必要がないからです。107kgという重さは、成人男性が2〜3人いれば、腰を痛めることなく簡単に持ち上げられてしまう重さです。手慣れたグループであれば、車から降りてバイクを積み込み、ドアを閉めて発進するまで、わずか数分、早ければ1分以内で完了してしまいます。
深夜の静寂に紛れる犯行
この積み込みスタイルの恐ろしいところは、エンジンをかける必要がないため、犯行中に大きな音がしないことです。深夜の住宅街で、ひっそりと車が停まり、数人の男が降りてきて、あなたのクロスカブを担ぎ上げる。その間、ほとんど物音はしません。アラームが付いていなければ、家の中で寝ているあなたが気づくことはまず不可能です。
さらに、クロスカブにはセンタースタンドが付いていますが、これを解除する音すらさせないよう、スタンドをかけたまま持ち上げるケースもあります。私たちが普段「軽いから楽だな〜」と感じているそのメリットが、犯人にとっても「軽いから仕事が楽だな」と思われていることを、強く認識しなければなりません。だからこそ、単にタイヤをロックするだけでなく、「車体を地面から離れさせない」という物理的な対策が不可欠になってくるのです。これについては後述する「地球ロック」の章で詳しく解説しますが、クロスカブにおいてはこの「軽さ対策」こそが防犯の核心であると言っても過言ではありません。
パーツ取りやカスタム車の価値

クロスカブの魅力といえば、自分好みに仕上げるカスタムですよね。マフラーを変えたり、リアボックスを付けたり、おしゃれなステッカーを貼ったり。でも、こだわりのカスタム車両ほど狙われやすいという皮肉な現実があります。これには明確な理由があります。
まず、ヨシムラやモリワキといった有名ブランドのマフラーや、高機能なリアボックス、専用のキャリアなどは、それ単体でも中古市場で数千円から数万円で取引されます。つまり、車両全体の価値にプラスして、パーツ代という「ボーナス」が乗っかっている状態なのです。犯人からすれば、ノーマルの車両を盗むよりも、カスタム車両を盗んだ方が、バラして売った時の利益総額が大きくなります。
さらに重要なのが、カスタム車両が発する「シグナル」です。高価なパーツが装着されている車両は、オーナーがそのバイクに資金を投じている証拠であり、一般的に「オイル交換などのメンテナンスも行き届いている、状態の良い車両」であると推測されます。窃盗団にとって、メンテナンスが行き届いたカスタム車両は、ハズレのない「極上の商品」として映るのです。
バラされると戻ってこない恐怖
また、仮に車体番号から足がつくのを恐れて車両ごと売却できなくても、カブシリーズは部品単位での需要も旺盛です。スーパーカブ、クロスカブ、ハンターカブなど、カブシリーズはエンジンの基本設計や多くのパーツに互換性があります。そのため、盗難車は解体ヤード(ヤードと呼ばれる作業場)に持ち込まれ、あっという間にバラバラに分解されます。
エンジン単体、ホイール、外装セット、メーター周りなど、パーツ単位にされてしまえば、それが「あなたのクロスカブの一部」であることを証明するのは極めて困難です。これらはネットオークションやフリマアプリで個別に売られたり、コンテナ詰めされて海外へ輸出されたりします。特に海外では、日本のカブのエンジンは「神話的な耐久性」を持つとして高値で取引されています。「どんなにボロボロでも、エンジンさえ生きていれば金になる」。これが、カブ系エンジンの恐ろしいところであり、盗難リスクを底上げしている要因なのです。
注意
「自分のはボロいから大丈夫」と思っていませんか?カブに関してはその常識は通用しません。見た目が錆びていても、エンジンや部品取りとしての価値が十分にあるため、油断は禁物です。
自宅や外出先での駐車環境の盲点
「自宅の敷地内だから安心」「ちょっとコンビニに寄るだけだから」という油断も、盗難率を高める一因です。特に自宅は、長時間駐車している場所であり、犯人に下見をされるリスクが最も高い場所でもあります。
プロの窃盗団は、昼間のうちに街を徘徊し、盗みやすそうなバイクを物色しています。これを「下見」といいます。彼らが見ているのは、車種だけではありません。「カバーがかかっていないか」「ロックは甘くないか」「人通りや照明はどうなっているか」「逃走経路は確保できるか」といった周辺環境を総合的にチェックしています。もし、あなたのクロスカブが通りから丸見えで、ハンドルロックしかしていない状態であれば、彼らの「買い物リスト」に追加されてしまうでしょう。
「見せない」ことが最初の防御
アパートやマンションの駐輪場も危険地帯です。住人以外の出入りが自由なオープンな駐輪場は、犯人にとって品定めし放題のショーケースのようなものです。また、センサーライトがなく夜間に真っ暗になる場所も、犯行が見つかりにくいため好まれます。戸建ての場合でも、門扉がないオープン外構のカーポートなどは、敷地内への侵入障壁が低いため注意が必要です。
外出先でも同様です。「人目があるから大丈夫」と思いがちですが、プロの犯行は数分、早ければ数十秒で完了します。白昼堂々、作業着を着て「故障車の回収業者」を装い、堂々とバイクを持っていく手口すらあります。周囲の人は「あ、レッカー移動かな」としか思わず、誰も通報してくれません。日常の足として使いやすいクロスカブだからこそ、つい防犯意識が薄れてしまう瞬間、その「心の隙」を彼らは虎視眈々と狙っているのです。
クロスカブの盗難率を下げる戦略

ここまでは怖い話ばかりしてしまいましたが、絶望する必要はありません。相手の手口がわかれば、論理的に守りを固めることができます。ここからは、クロスカブを盗難から守るために、私が推奨する具体的な防犯戦略を紹介していきます。
最強の対策である地球ロックの効果

車重が軽いクロスカブを守るために、絶対に外せない最強の手段。それが「地球ロック(アースロック)」です。
地球ロックとは、地面に固定された構造物(ガードレール、電柱、駐車場のアンカー、自宅の柱など)とバイクをチェーンロックなどで物理的に繋いでしまう方法です。これにより、前述した「車体を持ち上げて持っていく(積み込み窃盗)」という手口を物理的に封じることができます。どれだけ屈強な男たちが集まっても、地面と繋がっているバイクを持ち上げることはできません。犯人がバイクを盗むためには、強固なロックを切断するか、あるいは構造物そのものを破壊するしかなくなり、犯行にかかる時間と手間を大幅に増やせます。
窃盗犯の心理を逆手に取る
防犯対策の本質は、「盗むのを不可能にすること」ではなく、「盗むのを面倒だと思わせること」にあります。窃盗犯は常に「捕まるリスク」と「得られる利益」を天秤にかけています。地球ロックがされているバイクを見た瞬間、彼らはこう思います。「あれを切断するには油圧カッターが必要だ」「大きな音が出るかもしれない」「時間がかかって誰かに見られるリスクがある」。
その結果、彼らはリスクを冒してあなたのバイクを盗むよりも、隣に停まっている「ハンドルロックしかしていないバイク」を狙うようになります。残酷な言い方ですが、防犯とは「犯人に他のターゲットを選ばせる競争」でもあるのです。クロスカブにおいて、地球ロックをしていない状態は「どうぞ持っていってください」と言っているのと同じくらい無防備だと考えましょう。外出先でも、可能な限り固定できる対象物を探す癖をつけることが重要です。ガードレールや道路標識のポールなど、街中には意外と使える「地球」が存在します(もちろん、駐停車禁止場所や他人の敷地はNGですが)。
鉄則
地球ロックは防犯の基本にして奥義です。「ロックをした」ではなく、「地球と繋いだ」かどうかが、愛車の運命を分けます。
切断に強いロックと長さの基準
地球ロックをする際には、ロック自体の強さと長さも極めて重要です。「ホームセンターで売っている千円のワイヤーロックで地球ロックしてます!」という方がいますが、残念ながらそれは気休めにしかなりません。安価なワイヤーロックは、大型のボルトクリッパーやニッパーを使えば、数秒で、しかも無音で「プチッ」と切断されてしまいます。
本気で守るなら、選ぶべきは焼き入れ加工された特殊合金鋼のチェーンロックやU字ロックです。これらは表面が非常に硬く処理されており、手動の切断工具では歯が立ちません。切断するには電動グラインダーや油圧カッターといった重装備が必要になり、犯行のハードルを一気に上げることができます。キタコ (KITACO) のウルトラロボットアームロックや、デイトナ (Daytona) のストロンガーチェーンロックなど、バイク用品店で売られている防犯レベルの高い製品を選びましょう。
「長さ」が使い勝手と防犯性を決める
また、地球ロックをするにはある程度の長さが必要です。短すぎると柱に届かず、結局タイヤだけをロックする「自縛ロック」になってしまいがちです。これでは持ち上げられて終わりです。クロスカブの場合、最低でも1.5m、できれば2.0m以上の長さがあるチェーンロックをおすすめします。
ロックを通す場所も重要です。前輪は比較的簡単に取り外せるため、前輪だけを地球ロックしても、タイヤを残して車体だけ持っていかれる可能性があります。ベストなのは、取り外しが面倒な「後輪」のホイールを通すか、さらに強固な「メインフレーム」を通して固定する方法です。クロスカブはフレームが露出している部分が多いので、キャリアのパイプ部分などを活用するのも良いでしょう。
| ロックの種類 | 防犯強度 | 特徴と推奨度 |
|---|---|---|
| ワイヤーロック | 低 | 軽量だが切断されやすい。 サブ用。 地球ロックには不向き。 |
| 多関節ロック | 中 | コンパクトに畳めるが、関節部が弱点になることも。 携帯用。 |
| チェーンロック | 高 | 焼き入れ鋼なら切断困難。 重量があるため自宅用として最適。 |
| U字ロック | 高 | 切断に強いが、地球ロックするには長さが足りないことが多い。 |
純正アラームとカバーの併用効果
物理的なロックに加えて、電子的な対策を組み合わせることで防御力は飛躍的に向上します。私が特におすすめしたいのが、「バイクカバー」と「振動検知アラーム」の合わせ技です。この組み合わせは、低コストながら非常に高いシナジー効果を発揮します。
まず、バイクカバーの重要性について。これは単に雨風を防ぐだけでなく、「車種を隠す」という非常に大きな防犯効果があります。犯人は「売れるバイク」を探していますが、カバーがかかっていると、それがクロスカブなのか、ボロボロの不人気車なのか、一目では判別できません。中身を確認するためにカバーをめくるという「一手間」が必要になるため、それだけでリスクを感じて敬遠する犯人もいます。地味ですが、カバーは「迷彩服」のような役割を果たしてくれるのです。
音で威嚇する心理戦
さらに、その状態でアラームをセットしておけば効果は倍増します。犯人が車種を確認しようとカバーに手をかけ、めくろうとした瞬間に、センサーが振動を検知して大音量の警報が鳴り響きます。予期せぬ大音量は、犯人を強烈に動揺させます。周囲の注目を集めることを何より嫌う彼らは、中身を確認することすら諦めて、その場から逃走する確率が高くなります。
ホンダ純正のアラーム(CS-H02等)は、配線加工なしでカプラーオンで取り付けられるモデルもあり、信頼性も高いです。また、プロテックなどの専門メーカーからも高性能なキットが出ています。誤作動を心配される方もいますが、最近のモデルは感度調整が可能で、雨風程度では鳴らないように設定できるものも多いです。「カバーで隠し、触れたら鳴る」。この二段構えの罠を張っておくことで、あなたのクロスカブは鉄壁の要塞に近づきます。
AirTagとGPS追跡の限界

最近よく話題になるAppleの「AirTag(エアタグ)」などの紛失防止タグ。「これをバイクに付けておけば、盗まれても追跡できるから安心!」と思っている方も多いのではないでしょうか?SNSなどでも、「AirTagで盗難車を発見した!」という報告を見かけることがあります。
確かに、数千円で導入できて、iPhoneユーザーが多い都市部であれば位置情報の更新頻度も高く、非常に優秀なツールであることは間違いありません。しかし、バイクの盗難対策として使う場合、過信は禁物であり、致命的な弱点があることも理解しておく必要があります。
最大の弱点は、Appleが実装している「ストーカー防止機能」です。これは、自分のものではないAirTagが長時間近くにある場合、その人のiPhoneに「AirTagがあなたの近くにあります」と通知がいき、さらにAirTag自体が音を鳴らして存在を知らせるという機能です。これはプライバシー保護のための素晴らしい機能ですが、盗難対策としては仇になります。
犯人に「追跡」がバレる瞬間
もし犯人がiPhoneを持っていた場合、盗難してアジトへ移動している最中や、保管場所に置いた後に、犯人のスマホに通知が届いてしまいます。こうなると、「お、GPSが仕込まれているな」と気づかれ、車体を探されてAirTagを発見され、捨てられてしまいます。最近の窃盗団はこの仕様を熟知しており、盗んだ後に必ずBluetoothスキャナーアプリなどでタグの有無をチェックすると言われています。
したがって、AirTagはあくまで「犯人がiPhoneを持っていなかった場合」や「通知に気づくまでの短時間」に発見できる可能性を残す、保険的な補助ツールとして考えるべきです。本気で追跡を考えるなら、AlterLock(オルターロック)のような、バイク専用の盗難防止デバイスの導入を検討すべきです。これらは独自の通信回線(Sigfoxなど)を持っており、犯人のスマホに通知が行くことはありませんし、振動検知と同時にオーナーのスマホへ即座に通知を送る機能も備えています。「AirTagがあるから大丈夫」と油断して物理ロックを疎かにするのが、最も危険なパターンです。
AirTagを使うなら
もしAirTagを使う場合は、スピーカーを取り外して音が出ないように改造する(自己責任)、カウルの奥深くやエアクリーナーボックスの裏など、絶対に見つからない・取り出せない場所に隠すといった執念の工夫が必要です。
万が一に備える盗難保険の選び方

ここまで様々な対策を紹介してきましたが、最後に一つ、残酷な現実をお伝えしなければなりません。それは、「どれだけ厳重に対策しても、プロの窃盗団が本気になれば、盗難を100%防ぐことは不可能」だということです。彼らは重機を使ったり、壁を破壊したりしてでも盗んでいくことがあります。
そこで最後の砦となるのが「盗難保険」です。これはバイクを守るというより、あなたの「心」と「資産」を守るためのものです。クロスカブが盗まれた時の経済的ダメージは、車体代やカスタム費を含めると20〜30万円、場合によってはそれ以上になります。さらに、通勤や通学の足を失うことによる生活への影響も甚大です。
「次のバイク」への架け橋
盗難保険に入っていれば、万が一盗まれてしまっても、保険金で新しいバイクを購入したり、当面の移動手段を確保したりすることができます。「盗まれた!」というショックは計り知れませんが、「でも保険でなんとかなる」という安心感があれば、精神的な立ち直りも早くなります。逆に、保険に入っていない状態でローンだけが残ると、本当に悲惨です。
加入する際は、ZuttoRide(ずっとライド)などのバイク専用盗難保険がおすすめです。メーカー保証の盗難補償は期間が短い場合が多いですが、専用保険なら長く継続できます。また、パーツ盗難や、盗難未遂による鍵穴の破損(イタズラ)まで補償してくれるプランもあります。選ぶ際のコツは、補償額をケチらないこと。車両の購入金額だけでなく、カスタムパーツ代なども含めた現在の市場相場(例えば25万円〜30万円前後)をカバーできる設定にしておくのがポイントです。月々数千円の出費は痛いかもしれませんが、クロスカブという資産を守るための必要経費として割り切ることを強く推奨します。
確認リスト
- 補償金額は再調達価格に見合っているか?
- パーツ盗難や鍵穴イタズラは対象か?
- ロードサービスとのセット割引はあるか?
防犯対策に関するよくある質問

- マンション住まいで地球ロックができない場合は?
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構造上の問題でどうしても地球ロックができない場合は、「多重ロック」で対抗しましょう。物理的に持ち上げる時間を稼ぐため、前後輪にそれぞれ強力なロックをかけ、さらにディスクロックも追加します。そして、必ずアラームとバイクカバーを使用してください。「音」と「手間」を増やすことで、地球ロックの代わりとなる抑止力を生み出します。また、もし友人や家族もバイクに乗っているなら、2台のバイクを強力なチェーンで連結してロックするのも非常に有効です。2台まとめて持ち上げるのは、犯人にとっても至難の業だからです。
- 100均のロックでも意味はありますか?
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厳しい言い方になりますが、メインの防犯対策としては「ほとんど意味がない」と考えた方が良いでしょう。100均のワイヤーロックや自転車用のロックは、工具を使えば子供でも切断できてしまいます。犯人に対する「視覚的なアピール(ロックしてますよ感)」にはなるかもしれませんが、実際の防御力はゼロに等しいです。あくまで、コンビニでトイレに行く際の「数分間の時間稼ぎ」や、メインのロックに追加する「サブのロック」として割り切って使うのが正解です。大切なクロスカブを守るなら、ロックには車体価格の1割(2〜3万円)程度のコストをかける価値は十分にあります。
クロスカブの盗難率と対策まとめ
今回は「クロスカブの盗難率」をテーマに、狙われる理由と具体的な対策について解説してきました。高い人気と資産価値を持つクロスカブだからこそ、オーナー自身がリスクを正しく理解し、守ってあげる必要があります。
- クロスカブは換金性が高く、海外需要もあるため狙われやすい。
- 車体が軽いため、持ち上げられないよう「地球ロック」が必須。
- ロック、カバー、アラームを組み合わせた「多層防御」が効果的。
- 万が一のために盗難保険で経済的なリスクヘッジをしておく。
「毎回カバーをかけたりロックをしたりするのは面倒だな」と思うかもしれません。でも、その「面倒なひと手間」こそが、犯人が最も嫌がる壁なのです。あなたの愛車との楽しい生活を、理不尽な犯罪によって奪われないために。できることから一つずつ、対策を強化していきましょう。しっかり守って、良きカブライフを!
