こんにちは。デジタルバイクライブラリー、運営者の「ゆう」です。
独特なスタイルで独自の地位を築いているX-ADV。
「アドベンチャー」と「スクーター」を融合させたその姿は、一度見たら忘れられないインパクトがありますよね。
私も街中で見かけるたびに「おっ、かっこいいな」と目で追ってしまいます。
しかし、130万円を超える高額な車両だけに、購入してから「こんなはずじゃなかった…」と後悔することだけは絶対に避けたいはずです。
実際にネット上で検索してみると、「X-ADV 重い」「X-ADV 足つき」「X-ADV 故障」といった、購入を躊躇させるようなキーワードが並んでいるのも事実です。
この記事では、実際にX-ADVを所有するオーナーたちのリアルな声を徹底的に分析し、カタログスペックだけでは分からない「後悔」の落とし穴と、それを補って余りある「満足」の真実を、包み隠さずお届けします。
- オーナーが実際に直面し、日常で苦労しているX-ADV特有の具体的なデメリット
- 「スクーター」という見た目に騙されてはいけない、積載性と取り回しの現実
- DCTの故障リスクやリコール情報、そして維持費やリセールバリューの経済性
- 最終的にX-ADVを買って「大正解」となる人と「大失敗」となる人の決定的な違い
X-ADVの購入で後悔してしまう主な原因

X-ADVはその革新的なコンセプトゆえに、既存のバイクカテゴリーの枠に収まりません。
それが魅力である一方で、購入前のイメージと所有後の現実に「ズレ」が生じやすいバイクでもあります。
ここでは、多くのオーナーが購入後に直面し、思わず「しまった!」と感じてしまった具体的なポイントを深掘りしていきます。
想像以上に重い車重と取り回しの苦労
X-ADVの購入を検討する際、最も警戒すべきなのがその「重さ」です。
スタイリッシュな外観から、一般的なビックスクーターのような軽快さを想像していると、実車に触れた瞬間にその重厚感に圧倒されることになります。
カタログスペック上の車両重量は236kg。
これはリッタークラスのスーパースポーツバイクや、同排気量のネイキッドバイクよりも重い数値です。
しかも、X-ADVの場合、オフロード走破性を考慮して最低地上高が高く確保されているため、重心位置が比較的高くなっています。
日常の取り回しで感じるストレス
この「高重心+236kg」の組み合わせは、エンジンを切った状態での押し引きにおいて、オーナーにかなりの腕力とコツを要求します。
例えば、自宅のガレージから出す時や、ツーリング先の駐輪場で少しバックさせたい時。
車体を垂直に保っていれば問題ありませんが、少しでもグラっと傾いた瞬間、ズシリと重たい鉄の塊のような重量が身体にのしかかります。
特に、砂利の駐車場や、わずかでも傾斜がある場所での取り回しは、ベテランライダーであっても緊張する瞬間です。
ハンドルの広さも要注意
X-ADVはオフロードでの抑え込みを重視した、幅の広いテーパーバーハンドルを採用しています。
これが走行中は頼もしいのですが、狭い駐輪場での出し入れや、渋滞時のすり抜けにおいては明確なデメリットになります。
「ハンドルの端が壁に当たりそうで怖い」「隣のバイクに引っ掛けそう」という声は非常に多いです。
体力に自信のある男性なら「慣れ」で解決できる範囲かもしれませんが、小柄な方や女性、あるいは「スクーターのように気楽に扱いたい」と考えている方にとっては、乗るのが億劫になる原因になりかねません。
足つきの悪さが招く立ちゴケの恐怖
「アドベンチャーモデル」としての宿命とも言えるのが、足つき性の悪さです。
悪路走破性を高めるためにサスペンションのストローク量を長く取った結果、シート高は790mmとなっています。
「790mmなら、最近のスポーツバイクと同じくらいでは?」と思うかもしれません。
しかし、X-ADVには特有の問題があります。それは「シートの幅」と「ステップボードの干渉」です。
数値以上に足がつかない理由
スクーター形状のシートは座面が広く作られており、またがると足が外側に大きく開かされます。
そのため、数値上のシート高以上に足が地面に届きにくくなります。さらに、足を真下に下ろそうとすると、ちょうどステップボード(足を置く場所)がふくらはぎに当たり、さらに足を外側に逃がさなければなりません。
その結果、身長170cm前後の一般的な日本人体型の場合、両足のかかとまでべったり着くことは稀で、つま先立ちになるケースがほとんどです。
片足だけで支えることは可能ですが、前述した236kgの車重があるため、信号待ちや渋滞でのストップ&ゴーでは常に緊張を強いられます。
立ちゴケのリスクは現実的 「交差点で止まろうとしたら、路面の轍(わだち)に足を取られて支えきれずに倒してしまった」という悲しい報告は後を絶ちません。
X-ADVの外装パーツは高価で、立ちゴケするとカウルやハンドガードに傷が入り、修理費も嵩みます。
購入時には、ローダウンリンクの導入や、アンコ抜き(シートを削る加工)を検討するオーナーも多いのが実情です。
スクーターなのに積載性が低いという弱点
X-ADVの見た目は完全にスクーターですので、多くの人が「シートの下に荷物がたくさん入るはず」と期待します。
しかし、ここにも大きな落とし穴があります。
一般的なビッグスクーター(TMAXやバーグマンなど)は、シート下に広大なラゲッジスペースを持ち、ヘルメット2個+αの収納力を誇るものもあります。
しかし、X-ADVはモーターサイクルベースのフレームとエンジンレイアウト、そして大径ホイールを採用しているため、シート下のスペースは構造的に犠牲になっています。
ヘルメットが入らない問題
シート下容量は22L確保されていますが、形状が複雑で深さが足りません。
その結果、フルフェイスヘルメットの多くは収納不可です。SHOEIのZ-8やAraiのRX-7Xなど、ディフューザー(突起物)がついているモデルは、まずシートが閉まりません。
アドベンチャータイプのヘルメット(バイザー付き)などは論外です。
| 収納タイプ | X-ADVの現状 | 一般的なビックスクーター |
|---|---|---|
| フルフェイス | 厳しい(モデルによる) | 余裕で入る |
| ジェットヘル | 概ね入る | 2個入る場合も |
| 雨具・小物 | 必要十分 | 広大 |
「コンビニで買い物をしても、フックがないから袋をぶら下げる場所もない」「ツーリングでお土産を買うのを躊躇する」といった不満の声はよく聞かれます。
結局、実用的に使うためには、純正オプションやGIVIなどのトップケース(リアボックス)を追加購入することがほぼ必須となります。
「車両価格が高いのに、さらに5万円〜10万円の追加出費が必要なのか」と、後から気づいて後悔するポイントです。
DCTのギクシャク感や故障リスクへの懸念
X-ADVの心臓部であり、最大の売りでもあるDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)。
クラッチ操作不要で自動変速してくれる夢のような機構ですが、これも万能ではありません。
低速域での「クセ」と付き合う必要性
DCTは構造上、マニュアルトランスミッションを自動化したものです。そのため、CVT(無段変速機)のスクーターのような「滑らかで継ぎ目のない加速」とは異なります。
ギアが切り替わる際には、「カチャッ」という機械的な音と共に、わずかなショックを伴います。
特に後悔の声が多いのが、渋滞路やUターンなどの極低速走行時です。
時速10km〜20kmあたりで、コンピューターが「1速にするか2速にするか」を迷うような挙動を見せたり、スロットルオンの瞬間に唐突に駆動がつながって「ギクシャク(ドン突き)」したりすることがあります。
繊細なアクセルワークが求められるUターン中に、予期せぬシフトチェンジが起きるとバランスを崩しやすいため、「マニュアル車よりも怖い」と感じるライダーもいます。
これには「リアブレーキを引きずりながらアクセルを開ける」という独特のテクニックで対処する必要があります。
リコールと信頼性について
また、電子制御の塊であるがゆえの故障リスクも無視できません。
過去には、DCTの制御プログラムの不具合により、発進時にエンストする恐れがあるとしてリコールが届け出られています。
購入を検討する際は、対象車両のリコール対策が完了しているかを必ず確認する必要があります。最新の情報はメーカーの公式サイトで確認できます。
(出典:Honda リコール・改善対策一覧)
DCT本体が故障した場合、街のバイク屋さんでは手が出せず、ユニットごとの交換になるなど修理費が高額になるケースもあります。
「長く乗りたいけれど、電装系の寿命が心配」という声は、長期保有を目指すオーナー共通の悩みです。
クルコンや装備に関する不満と機能不足
130万円オーバーというプレミアムな価格帯を考えると、装備面での「欠落」もオーナーの不満を招いています。
クルーズコントロールがない!
X-ADVは高速道路を使ったロングツーリングも得意とするバイクです。
しかし、これだけの高級車でありながら、クルーズコントロール(オートクルーズ)が装備されていません。
ライバルとなる海外のアドベンチャーバイクや、同じホンダのNT1100などには当たり前に装備されている機能です。
スロットルバイワイヤ(電子制御スロットル)を採用しているため、技術的には搭載可能なはずなのですが、なぜかX-ADVには採用が見送られています。
「北海道ツーリングで右手が痺れた」「高速巡航が楽なバイクだと思って買ったのに」という後悔の声は非常に多く、社外品のスロットルアシスト(アクセルを固定する簡易的な器具)で誤魔化しているオーナーも少なくありません。
スイッチ類の操作性とHSVCS
また、ホンダ車特有の「ウインカーとホーンのスイッチ位置が逆」という配置(ウインカーが下、ホーンが上)にも慣れが必要です。
「交差点を曲がろうとして、間違って『プッ!』とクラクションを鳴らしてしまい、歩行者に白い目で見られた」というのは、X-ADVオーナーの通過儀礼のようなものです。
さらに、スマホ連携機能であるHSVCS(Honda Smartphone Voice Control system)についても、「インカムとの接続が不安定」「音声認識の精度が低くて実用的ではない」という厳しい評価が多く、結局使わなくなってしまったという人が大半です。
こうした「期待していた先進機能が使えない」というガッカリ感も、後悔の一つと言えるでしょう。
X-ADVを選んでも後悔しない人の特徴

ここまで、X-ADVのネガティブな側面を包み隠さずお伝えしてきました。
「こんなに欠点があるならやめておこうか…」と思った方もいるかもしれません。しかし、ちょっと待ってください。
これだけの「クセ」がありながら、X-ADVは世界中で熱狂的なファンを持ち、売れ続けています。
それは、これらの欠点を補って余りある「唯一無二の魅力」があるからです。
ここからは、X-ADVを選んで「本当に良かった!」と心から満足しているオーナーたちが、何を評価しているのかを解説します。
価格が高くてもNC750Xより選ぶ理由
X-ADVは、エンジンやフレームの基本設計を「NC750X」と共有しています。
しかし、価格差は約35万円〜40万円(年式やグレードによる)もあります。
「中身が同じなら、安いNC750Xで十分では?」と考えるのは合理的です。
しかし、満足しているオーナーは、この価格差を「正当な対価」として受け入れています。
なぜなら、X-ADVにはNC750Xにはない豪華装備がこれでもかと奢られているからです。
- 専用設計の倒立フロントフォーク:スポーツバイク並みの剛性と路面追従性を実現。
- ダブルディスク&ラジアルマウントキャリパー:236kgの車体を指一本でコントロールできる強力なブレーキ性能。
- 専用のアルミスイングアーム:質感と剛性が段違い。
- スマートキーシステム:ポケットからキーを出さずにエンジン始動や給油が可能。
そして何より、「イタリアのホンダR&Dが手掛けた唯一無二のデザイン」。信号待ちでショーウィンドウに映る自分のバイクを見た時の高揚感、ガレージに停めた時の所有欲。
これらはNC750Xでは得られない特別な体験です。
「実用性」以上の「ロマン」と「質感」にお金を払える人にとって、X-ADVは決して高い買い物ではありません。
TMAXと比較してわかる独自の魅力
X-ADVの購入を迷う時、必ず比較対象に挙がるのがヤマハの「TMAX」です。
キング・オブ・スクーターとして君臨するTMAXは、オンロードでのコーナリング性能や、CVTによるシームレスな加速において、確かにX-ADVを上回る部分があります。
しかし、X-ADVオーナーがTMAXを選ばなかった理由、それは「行動範囲の広さ」と「ダイレクト感」です。
X-ADVは、フラットダート(砂利道)程度なら何食わぬ顔で走破できます。
キャンプ場の入り口が未舗装だったり、ツーリング先で不意に荒れた道に出くわしたりしても、躊躇なく入っていける。
この「道の終わりが旅の終わりではない」という全能感は、オンロードタイヤを履いたTMAXにはない特権です。
また、DCTによる「ガチャン、ガチャン」という変速感は、バイクを操っているという実感を与えてくれます。
「スクーターの楽さは欲しいけど、オートマチック車のような退屈さは嫌だ」というワガママな要求に、完璧に応えてくれるのは世界でX-ADVだけなのです。
驚異的なリセールバリューと資産価値

「130万円は高い」という後悔を、一発で払拭できる最強の論理。それがリセールバリュー(再販価値)の高さです。
X-ADVは国内外で非常に人気が高く、中古車市場でも値崩れしにくい車種の筆頭です。
状態が良ければ、購入から数年乗っても、驚くほどの高値で買い取ってもらえるケースが珍しくありません。
トータルコストで考える賢い選択 例えば、130万円で買って3年後に90万円で売れたとします。
3年間の償却コストは40万円です。
一方、80万円の不人気車を買って、3年後に30万円でしか売れなければ、償却コストは50万円。
つまり、「初期投資は高くても、出口(売却)まで考えれば、X-ADVの方が安く乗れる」という現象が往々にして起こります。
「もし気に入らなくても、高く売れるからダメージは少ない」。この安心感は、購入の背中を強く押してくれる大きなメリットです。
圧倒的な燃費性能と維持費の安さ

大型バイクの維持費でバカにならないのがガソリン代ですが、X-ADVはこの点でもオーナーを驚かせます。
750ccの2気筒エンジンは低回転域でのトルクを重視したセッティングになっており、実燃費でリッター27km〜30km(WMTCモード値に近い数値)を叩き出すことが珍しくありません。
しかも、燃料は経済的な「レギュラーガソリン」仕様です。
例えば、同クラスの4気筒スポーツバイクがハイオク仕様でリッター18km前後だとすると、長距離ツーリングでの燃料代の差は歴然です。
1回の給油で300km以上を余裕で走り切れる航続距離の長さも、ツーリングライダーにとっては頼もしい限り。
「タイヤの減りも比較的穏やか」「DCTオイルフィルターなどの消耗品も安価」といった点も含め、X-ADVは「家計に優しい大型バイク」という、意外な一面を持っています。
結論:X-ADVで後悔するかは目的次第
X-ADVは、誰もが満足できる「80点の優等生」ではありません。
刺さる人には120点、刺さらない人には赤点になる、非常に尖ったバイクです。
最後に、あなたがX-ADVを買って後悔する人か、それとも最高の相棒になる人か、チェックリストで確認してみましょう。
| こんな人はX-ADVで後悔するかも(要注意) | こんな人はX-ADVで大満足できる(適正あり) |
|---|---|
| とにかく「軽さ」と「足つき」を最優先したい | 重さは「安定感」と捉え、体力や工夫でカバーできる |
| シート下にヘルメットを2個入れたい | トップケースを付けることに抵抗がない |
| CVTのような無振動・無変速の快適さが好き | DCTのダイレクトな変速ショックを楽しめる |
| コスパ(初期費用の安さ)だけで選びたい | リセールを含めたトータルコストで判断できる |
もしあなたが、「スクーターの形をした、遊べるアドベンチャーバイク」という唯一無二のコンセプトにロマンを感じるのであれば、X-ADVは間違いなく買いです。
多少の不便さは「愛嬌」として許せてしまうほど、このバイクとの生活は刺激的で楽しいものになるはずですよ。
