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【X-ADV】パニアケースの正解は?純正・GIVI・SHADを徹底比較

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X-ADVパニアケースの正解は?純正・GIVI・SHADを徹底比較

こんにちは。デジタルバイクライブラリー、運営者の「ゆう」です。

アドベンチャーの走破性とスクーターの利便性を兼ね備えたX-ADVですが、意外と悩ましいのが積載量の問題ではないでしょうか。

ツーリングやキャンプ、毎日の通勤で荷物を運びたいけれど、純正のパニアケースは価格が高くて手が出しにくいし、かといってGIVIやSHADなどの社外品を選ぼうとすると取り付けに必要なステーやキャリアの適合が複雑でわかりにくいですよね。

ヘルメットが収納できるサイズや車幅への影響も気になるところです。

この記事でわかること
  • 純正・GIVI・SHADなど主要メーカーの特徴と価格の違い
  • GIVIパニア装着時に陥りやすい「適合の罠」と回避方法
  • ヘルメット収納を重視する場合に選ぶべきメーカーと注意点
  • 自分のスタイルに合った最適なパニアケースの選び方
目次

X-ADVパニアケースの選び方と種類

X-ADVはその独特な「クロスオーバー」というスタイルゆえに、パニアケース選びにおいても一般的なバイクとは異なる複雑な事情を抱えています。ツアラーのように巨大なケースを積めばいいというわけではなく、かといってスクーターのようにシート下だけで完結するわけでもない。

「とりあえず箱がつけばいい」と思って安易に選ぶと、後で「ステーがつかない!」「すり抜けが怖いほど幅広になった」なんてことになりかねません。まずは主要なメーカーごとの特徴と、それぞれの「強み」と「弱み」をしっかり把握していきましょう。

Honda純正の価格と特徴

まず最初に検討するのが、やはり安心感のあるHonda純正アクセサリーですよね。車両本体の開発と並行して設計されているだけあって、車体デザインとの一体感、空力特性、そして安全性においては間違いなくナンバーワンの選択肢です。

純正パニアの最大の特徴であり、最強のメリットと言えるのが「ワン・キー・システム」の採用です。これは、車両のイグニッションキー(またはスマートキーに内蔵されたメカニカルキー)一本で、パニアケースの施錠・解錠はもちろん、車体からの取り外し操作まで全て行える仕組みのことです。

毎日の通勤でX-ADVを使う私のようなユーザーにとって、トップボックス、パニア左右、そしてメインキーと、複数の鍵をジャラジャラと管理しなくて済むのは、想像以上に大きなストレス軽減になります。「鍵を探す」という無駄な時間が人生から消えるだけでも、純正を選ぶ価値はあるかもしれません。

機能面では、X-ADV特有のアップタイプマフラーを避けるため、右側のケースが大きくえぐれた形状(カットアウトデザイン)になっています。これにより、右側約26L、左側約33L(合計約59L)という容量を確保しつつ、ケースが外側に張り出しすぎるのを防いでいます。

また、マウント部分にはHonda伝統の「フローティング構造」が採用されている点も見逃せません。これは、走行風や路面のギャップでケースが揺れた際、その振動をあえて「遊び」で逃がすことで、車体全体が振れる(ウォブル現象)のを防ぐ安全設計です。

最大のネックは「導入コスト」の高さ

純正品導入の障壁となるのが、その価格と部品点数の多さです。「パニアケース本体」を買えば済むわけではありません。車体に固定するための「パニアサポートステー」、その土台となる「リアキャリア」、鍵機能を有効にするための「キーシリンダー(ワン・キー・インナーロック)」、そして見栄えを良くする「アルミパネル」などを個別に揃える必要があります。

これらを全て定価で揃えると、総額で25万円〜28万円近くになることも珍しくありません。品質は最高ですが、コストパフォーマンスという観点では覚悟が必要な選択肢と言えるでしょう。

GIVIの取り付けと適合の注意点

アフターマーケットの巨人であるイタリアのGIVI(ジビ)ですが、X-ADVに関しては「適合の落とし穴」が非常に深く、最も注意が必要なメーカーです。ここ、本当にテストに出るくらい重要なので詳しく解説します。

通常、GIVIのサイドケースホルダー(PLシリーズやPLOシリーズ)は、単独で装着できるか、あるいはGIVI製のトップケース用ステー(FZシリーズやSRシリーズ)と同時装着できる設計が一般的です。

しかし、X-ADV(特に2017-2020年モデル等の特定品番PL1158など)においては、仕様が非常に特殊です。なんと、GIVIのサイドケースホルダーを取り付けるために、「Honda純正リアキャリア」が必須となるケースがあるのです。

これが何を意味するかというと、「純正が高いからGIVIで安く済ませよう」と考えたのに、土台として高価なHonda純正リアキャリア(約5万円前後)を購入しなければならず、結果的にコストがあまり下がらないというパラドックスが発生します。

さらに、GIVIのトップケース用ステー(1156FZなど)とサイドケース用ホルダー(PL1158)は物理的に併用できないという制約もあり、「GIVIでフルパニア(トップ+サイド)にしたい」という単純な願いを叶えるのが非常に難しいのです。

GIVIを選ぶなら「Dolomiti」が最適解

数ある制約の中で、X-ADVユーザーに最も支持されているのが「Trekker Dolomiti(ドロミテ)30」です。丸みを帯びたアルミケースのデザインは、アドベンチャーとスクーターの中間であるX-ADVに完璧にマッチします。また、トップケースとしてもサイドケースとしても使える汎用性があり、蓋が完全に外れるだけでなくヒンジのように開閉できる機構も備えているため、使い勝手は抜群です。

なお、角ばったデザインで人気の「Trekker Outback」シリーズは、マフラーとの干渉やホルダーの構造上、X-ADVには装着できない(または非常に困難)な場合が多いため注意してください。

SHADはヘルメットが入る容量

「とにかく荷物をたくさん積みたい!」「サイドケースにヘルメットをしまいたい!」という実用性重視の方には、スペインのブランドSHAD(シャッド)が最強かつ唯一の選択肢になります。

SHADの最大の特徴は、「3Pシステム」と呼ばれる革新的なマウント機構です。他社のステーが四角い鉄枠のような形状で目立つのに対し、3Pシステムは車体のラインに沿ったL字型のパイプ一本のみ。ケースを外した状態でも、X-ADVのスタイリッシュな外観をほとんど損なわない点は、デザインにこだわるオーナーから高く評価されています。

そして何よりの魅力は、適合するサイドケース「SH36」の圧倒的な収納力です。このケースは、その名の通り片側36Lの大容量を持っており、外側に大きく張り出した独自のデザインによって、フルフェイスヘルメット(ものによってはXXLサイズのシステムヘルメットも!)をすっぽりと収納できるように設計されています。

純正パニアやGIVIの30Lクラスでは、ヘルメットを入れることは物理的に不可能です。「タンデムツーリングでパッセンジャーのヘルメットを収納したい」「トップケースは重心が高くなるから嫌だけど、ヘルメットは隠したい」というニーズに対し、SH36は完璧な回答を示してくれます。

さらに、SHADはコストパフォーマンスも優秀です。ケース左右とフィッティングキットを合わせても、純正の半額以下で導入できるケースが多く、予算を抑えたいユーザーにとっても強い味方となります。

アルミ製でキャンプに強いSW-MOTECH

もっとワイルドに、アドベンチャーバイクらしく「旅」を楽しみたい方、あるいは北海道ツーリングや林道キャンプを視野に入れている方には、ドイツのSW-MOTECH(エスダブリュー・モテック)が深く刺さるはずです。

ここのフラッグシップモデルである「TRAX ADV」というアルミケースは、角ばった無骨なデザインと、1.5mm厚のアルミニウムプレートを用いた高い堅牢性が特徴です。転倒時のダメージ軽減に役立つコーナーガードも装備されており、まさに「冒険のための箱」といった趣です。

防水性も高く、泥だらけになっても丸洗いできるタフさは、X-ADVのオフロード性能を引き出す最高のパートナーとなるでしょう。

そしてSW-MOTECHの最大の武器は、特許取得済みの「クイックロックシステム」です。これは、パニアケースだけでなく、車体に取り付けた「サイドキャリア(ステー)」そのものを、コインや専用工具を使って数秒で取り外せる機構です。

平日の通勤や街乗りではステーごと取り外してスマートな純正ルックを保ち、週末のツーリング時だけガチャっとキャリアを装着してフル装備に変身する。そんな「二つの顔」を使い分けられるのは、SW-MOTECHだけの特権です。

街乗りに最適なヘプコ&ベッカー

そこまで大げさな箱はいらないけど、レインウェアや書類、ちょっとしたお土産をスマートに運びたい。そんな「都市型ミニマリズム」な方には、Hepco & Becker(ヘプコ&ベッカー)の「C-Bow(シーボウ)」システムがおすすめです。

C-Bowは、その名の通り「C」の字型をした小さな樹脂製ステーです。これに対応するバッグは、ハードケースの「Orbit(オービット)」や、ソフトバッグの「Xtravel」「Royster」など多岐にわたります。大きな特徴は、車体への張り出しが非常に少なく、装着しても車幅が極端に広がらないことです。

特にソフトバッグタイプは軽量で、万が一オフロード走行中に転倒しても、硬いアルミケースのように足が挟まって怪我をするリスクが低いため、林道アタックを楽しむ「マニアックなX-ADV使い」の方々にも密かに人気があります。

見た目も仰々しくならないので、スーツ姿で通勤するビジネスマンライダーにとっても、X-ADVのデザインを崩さないスマートな積載ソリューションとして最適かなと思います。

主要メーカーの容量とサイズ比較

ここで、各メーカーのシステムを客観的なデータで比較してみましょう。数値はあくまで目安ですが、選ぶ際の重要な判断材料になるはずです。

スクロールできます
メーカーモデル例片側容量ヘルメット収納概算費用(フルセット)
Honda 純正純正パニア26L / 33L× 不可約21万円〜28万円
GIVIDolomiti 3030L× 不可約18万円〜 (※純正キャリア含む場合)
SHADSH3636L○ 可能約11万円〜
SW-MOTECHTRAX ADV37L / 45L△ 45Lなら可約24万円〜

※価格は時期、為替レート、購入経路(Web通販か店舗か)によって大きく変動します。正確な最新価格は各メーカーの公式サイトや販売店で必ず確認してください。

X-ADVパニアケース導入の注意点

欲しいケースが決まってきたところで、実際に購入・取り付けをする前に知っておくべき「現実的な問題」についてお話しします。ここを見落とすと、高額な商品を買ってから「取り付けられない!」「危なくて走れない!」と後悔することになりかねません。

リアキャリアとステーの互換性

先ほどGIVIの項目でも少し触れましたが、X-ADVのカスタムにおいて最も複雑で、かつトラブルになりやすいのが「リアキャリア問題」です。

X-ADVのリア周りの構造上、サイドケースを取り付けるステーは、リアキャリア(トップケース用台座)と共締めしたり、リアキャリアの一部を利用して固定したりする製品が多く存在します。そのため、「純正リアキャリアがついていることが前提」の社外ステーもあれば、逆に「純正リアキャリアがついていると干渉して取り付けられない(専用ステーが必要)」という社外品もあります。

特に注意が必要なのは、中古車を購入した場合や、すでに何らかのトップケースがついている場合です。今ご自身のX-ADVについているキャリアが「純正」なのか「社外(デイトナ、キジマ等)」なのかを目視で判断するのは難しく、誤った組み合わせのパニアステーを購入してしまうリスクがあります。「GIVIの箱を買ったけど、今ついているキャリアを外さないとつかない。でも外すとトップケースが使えなくなる…」といったパズルに陥らないよう、事前にメーカー公式サイトの「取扱説明書(構成図)」を必ずダウンロードしてチェックすることを強くおすすめします。

すり抜けに影響する車幅の問題

日本の道路事情、特に都内などの渋滞路を走るライダーにとって死活問題なのが「車幅(全幅)」の拡大です。X-ADVのハンドル幅(ナックルガード含む)は約91cmと元々広めですが、大容量のパニアケースをつけると、お尻の方がハンドルよりさらに広くなってしまうことがあります。

SHAD SH36の全幅に注意

ヘルメットが入るという圧倒的なメリットを持つSHADのSH36ですが、装着時の全幅は約107cmにも達すると言われています。これはハンドル幅を片側約8cmずつ、合計16cmもオーバーする計算です。

「頭(ハンドル)が抜けたから大丈夫」という感覚ですり抜けをすると、後ろのケースがガードレールや隣の車に接触し、転倒や破損事故につながる危険性が極めて高くなります。SHADのような幅広ケースをつける場合は、「すり抜けは絶対にしない」という強い意志を持つか、あるいは車幅感覚を完全に書き換える必要があります。

通勤ですり抜けを多用する方は、車幅がハンドル幅内に収まるよう設計されている純正パニアや、薄型のGIVI Dolomiti、Hepco & Beckerなどを選ぶのが無難かつ安全かなと思います。

ワンキーシステムの利便性

カタログスペックでは見えにくいですが、実際に長期間使ってみて痛感するのが「鍵の管理」の煩わしさです。もしフルパニア(トップ+サイド)にして、全て別の鍵だった場合、トップケース用、右パニア用、左パニア用、そしてバイクのメインキーと、最大で4本もの鍵を持ち歩くことになります。

雨の日の夜、暗がりの中で「どれがどこの鍵だっけ?」と手探りするのは、地味ですが確実にストレスが溜まります。

その点、純正のワン・キー・システムは本当に優秀です。キー一本で全てが完結するシームレスな体験は、一度味わうと戻れません。社外品でも、GIVIなどは「セイムキーセット」を購入してシリンダーを交換すれば、トップとサイドの鍵を統一することは可能です。

しかし、バイクのエンジンキー(メインキー)と合わせられるのは、基本的にHonda純正アクセサリーのみです。この「毎日の快適さ」に差額分の数万円を払えるか、というのが純正を選ぶかどうかの大きな分かれ道になりますね。

中古やセット購入で値段を抑える

「純正が良いのはわかったけど、やっぱり25万も出せない!」という方は、中古市場を賢く利用するのも一つの手です。X-ADVは熱心なファンが多い人気車種なので、ヤフオク!やメルカリなどで純正パニアが出回ることも意外とあります。

中古で購入する際の狙い目は、「ステー類が全てセットになっている出品」です。パニアケース本体だけが安く出品されているのをよく見かけますが、それに飛びつくのは危険です。後から新品でステー、リアキャリア、キーシリンダー、パネルなどを買い足していくと、部品単価が高いため、結局セットで新品を買うのと変わらない(あるいは高くなる)金額になってしまうことが多々あります。

「すぐに取り付けられるフルセット」かどうかを確認するのが、中古選びで失敗しないコツです。

また、少し上級者向けの節約術として、「純正リアキャリアだけを中古で安く入手し、そこにGIVIのパニアステー(PL1158等)を組み合わせる」というハイブリッドな方法もあります。これなら、土台のコストを下げつつ、GIVIの多彩なケースを選択できるようになります。

【総括】自分に合うX-ADVパニアケースの正解

長くなりましたが、最後にタイプ別のおすすめをまとめておきます。

  • お金はある!快適さと純正スタイル重視の方 迷わず「Honda純正」一択です。ワンキーシステムの便利さと、車体との一体感は満足度が違います。(出典:HondaGO BIKE GEAR | X-ADV純正アクセサリー
  • とにかく荷物を積みたい!ヘルメットを入れたい方 「SHAD SH36」が正解です。車幅には十分な注意が必要ですが、コストパフォーマンスと収納力は他を圧倒しています。
  • アドベンチャーらしさを追求したい方 「GIVI Dolomiti」や「SW-MOTECH」を選びましょう。アルミの質感がX-ADVのタフさを引き立て、キャンプ場での映えも抜群です。

パニアケースは一度つけると、バイクのシルエットも使い勝手もガラッと変わります。積載量が増えれば、今まで行けなかった遠くの場所へ、キャンプへ、あるいは快適な通勤へと、X-ADVの世界が間違いなく広がります。ぜひ、あなたのX-ADVライフにぴったりの「箱」を見つけてくださいね。取り付けの適合に不安がある場合は、自己判断せず、バイク用品店やディーラーに相談することをおすすめします!

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