こんにちは。デジタルバイクライブラリー、運営者の「ゆう」です。
あこがれのCBR250RR、あの鋭いデザインとクラス最強のスペックには本当にワクワクさせられますよね。
街中で見かけるたびに「いつかはオーナーになりたい」と目で追ってしまう、そんな魅力的なバイクです。
でも、購入を真剣に検討すればするほど、どうしても気になってしまうのが「維持費」、特に日々のランニングコストに直結するガソリン代のことではないでしょうか。
ネットで検索窓に「CBR250RR」と打ち込むと、サジェストキーワードに「燃費 悪い」なんて言葉が出てきて、ドキッとした経験がある方も多いはずです。
「そんなにガソリン食うの?」「通勤に使いたいけど、お財布に優しくないのかな…」と、不安を感じてしまうのも無理はありません。私も最初はそうでした。
しかし、結論から言ってしまうと、その評判には少し「誤解」が含まれているんです。
実は私たちが普段どのように「ライディングモード」を活用するかや、高速道路を走る頻度、そして何気ない日々のアクセルワークによって、CBR250RRの燃費は驚くほど大きく変わってくるんです。
このバイクは、乗り手次第で「エコカー並みの優等生」にも「ガソリンを食らう猛獣」にもなる、二面性を持っています。
この素晴らしいバイクを「燃費が悪そうだから」という理由だけで諦めてしまうのは、あまりにももったいない!
そこで今回は、CBR250RRの燃費に関する噂の真相を、客観的なデータとメカニズムの視点から徹底的に解明していきます。
本当のところどうなのか、そして燃費を向上させるための具体的なコツはあるのか、一緒にチェックしていきましょう。
- カタログ値と実測データの差から本当の実力を把握できる
- ライバル車との比較で燃費性能の立ち位置がわかる
- 燃費を悪化させてしまう意外な運転や環境要因を知れる
- 明日からすぐに実践できる具体的な燃費向上テクニックが学べる
さて、ここからは実際に「CBR250RRは燃費が悪い」という噂が本当なのか、メーカー公表値やユーザーの実測データなど、様々な角度から検証していきたいと思います。
CBR250RRは燃費悪いのか実データを検証

まずは、一番気になる「数字」の部分から見ていきましょう。「燃費が悪い」と言われていても、それが自分の許容範囲内なのか、それとも致命的なのかはデータを見ないと判断できませんよね。感覚的な「悪い」ではなく、数値に基づいた客観的な評価を行うことで、不安の正体が見えてくるはずです。
満タン給油時の航続距離と目安
ツーリングに出かけるとき、「次のガソリンスタンドまで持つかな?」「この山道に入ってガス欠になったらどうしよう」という不安は、ライダーにとって最大のストレスの一つです。特にCBR250RRのようなスポーツモデルはタンクが小さいイメージがあるかもしれませんが、実際のところはどうなのでしょうか。
まず基本スペックを押さえておくと、CBR250RR(MC51型)の燃料タンク容量は14リットルとなっています。これは同クラスの250ccスポーツバイクとしては標準的か、やや余裕のあるサイズ感です。
そして肝心の燃費ですが、メーカーであるホンダが公表しているWMTCモード値(より実走行に近い基準で測定された燃費)は、27.1km/L(クラス2-2、1名乗車時)です。(出典:本田技研工業『CBR250RR 主要諸元』)
この数値は、発進・加速・停止を含む国際的な試験モードで算出されたものなので、私たちの普段使いに近いデータと言えます。
しかし、カタログ値だけでは安心できませんよね。実際のオーナーさんの声をSNSや燃費記録サイトでリサーチしてみると、街乗りやツーリングを含めた平均的な実燃費は、おおよそ25km/L〜30km/Lあたりに落ち着くことが多いようです。もちろん、渋滞ばかりの都市部では20km/L台前半に落ち込むこともありますが、逆に信号の少ない田舎道では30km/Lを軽く超えることも珍しくありません。
航続距離の計算(実用的な目安)
では、満タンでどれくらい走れるのか計算してみましょう。仮に、少しラフな運転をして実燃費を厳しめに「25km/L」と見積もった場合でも、計算上は以下のようになります。
25km/L × 14L = 350km
もしツーリングで丁寧に走り、燃費が30km/Lまで伸びたとすれば、なんと420kmもの距離を無給油で走破できる計算になります。
350kmといえば、東京から名古屋まで高速道路で移動してもお釣りがくる距離です。一般的なツーリングでの給油タイミングは200km〜250kmごとに行うことが多いですが、CBR250RRなら余裕を持ってそのサイクルをこなせます。「給油ランプが点灯してからでも、まだ50km以上は走れる」という安心感は、ロングツーリングにおいて非常に大きな武器になります。
つまり、「燃費が悪いから頻繁に給油が必要で面倒くさい」というイメージは、データを見る限り当てはまらないことがわかります。これだけの航続距離があれば、人里離れた絶景ロードを目指す長距離ツーリングでも、ガス欠の恐怖に怯えることなく純粋に走りを満喫できるはずです。
高速道路走行時の実燃費データ

次に注目したいのが、高速道路での燃費性能です。「250ccで高速道路はエンジンが唸って燃費が悪くなるんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれません。確かに、小排気量のバイクにとって高速巡航はエンジン回転数が高くなりがちで、一般的には燃費にとって厳しいシチュエーションです。
しかし、CBR250RRにはここで大きなアドバンテージがあります。それが、あの攻撃的で美しい「フルカウルボディ」です。CBR250RRのデザインは単なる見た目のカッコよさだけでなく、徹底した空力特性(エアロダイナミクス)の追求から生まれています。
バイクが高速で走る際、エンジンパワーの多くは「空気抵抗」に打ち勝つために消費されます。速度が2倍になれば空気抵抗は4倍になると言われるほど、風の壁は巨大です。ここで、CBR250RRの整流効果の高いカウリングが真価を発揮します。ライダーがスクリーンの中に伏せるように身をかがめれば、空気はスムーズに車体を流れていき、ネイキッドタイプのバイクに比べて驚くほど少ないパワーで速度を維持することができるのです。
空力と燃費の密接な関係
実際に、多くの自動車メディアのテストやオーナーレポートにおいて、高速道路を法定速度(100km/h前後)で一定巡航した際の燃費が、リッター30km〜33kmという驚異的な数値を記録しています。これは、エンジンの負荷が軽減されている証拠です。
また、CBR250RRのエンジンは高回転型でありながら、6速トップギアの守備範囲が広く設計されています。幻の7速に入れたくなるような不快な微振動も抑えられており、スムーズに巡航できるため、結果として無駄なアクセル開閉が減ります。
ただし、注意点もあります。いくら空力が良くても、追い越し車線を常にリードするような速度域で走り続ければ、空気抵抗は指数関数的に増大し、燃費は急激に悪化します。あくまで「法定速度での巡航」において、CBR250RRはクラス最高レベルの効率を発揮するのです。風を味方につけるデザインが、実は財布にも優しいという事実は、オーナーだけが知る嬉しい誤算と言えるでしょう。
モード切替によるガソリン消費の差
ここがCBR250RRを語る上で最も重要で、かつ「燃費が悪い」という評判を生んでしまっている最大の要因かもしれません。CBR250RRには、クラス初となる「スロットル・バイ・ワイヤ(TBW)」システムが採用されており、これによってエンジンの出力特性を以下の3つのモードに切り替えることができます。
| モード名称 | 特性と燃費への影響 |
|---|---|
| Comfort | レスポンスが穏やかで、雨天時やタンデム、街乗りに最適。 アクセルをラフに開けても急加速しないため、最も燃費が良い傾向にある。 |
| Sport | オールラウンドに使える標準モード。 リニアな加速感と扱いやすさのバランスが良く、燃費も標準的。 |
| Sport+ | 最も過激なモード。 アクセルのツキが鋭くなり、強烈な加速を楽しめるが、 高回転を多用したくなるため燃費は劇的に悪化しやすい。 |
問題なのは、この「Sport+」モードがあまりにも楽しすぎることなんです(笑)。
Sport+に入れると、まるで別のバイクになったかのようにエンジンが吠え、右手の動きに瞬時に反応して車体が前に飛び出します。このアドレナリンが出る感覚を味わってしまうと、ついつい信号待ちからの発進でワイドにアクセルを開けたり、必要以上に低いギアで引っ張って走ったりしてしまいがちです。
検索で「燃費が悪い」と言っているユーザーの中には、常にこのSport+モードで、高回転域を多用するアグレッシブな走りをしているケースが少なくありません。この状態では、燃費がリッター20km近くまで落ち込むこともあります。
逆に言えば、「Comfort」モードをうまく活用すれば、燃費は確実に伸びます。電子制御スロットルが、人間がついやってしまう無駄なアクセル操作(ガソリンの無駄遣い)を電気的に補正し、最適な燃焼効率を維持してくれるからです。
「通勤や渋滞路ではComfort、ワインディングに入ったらSport+」というように、シーンに合わせてこまめにモードを切り替えることが、CBR250RRを賢く、かつ経済的に楽しむための最大のコツです。この「二面性」を使いこなすことこそ、トータルコントロールを標榜するこのバイクの醍醐味と言えるでしょう。
ライバル車と燃費性能を徹底比較
「CBR250RRの性能がすごいのは分かったけど、やっぱり他社のバイクと比べて燃費が悪かったら損した気分になる…」という方もいるでしょう。ここでは、250ccスポーツクラスで人気のライバル車、「ヤマハ YZF-R25」と「カワサキ Ninja 250」を比較対象として、燃費性能を徹底的に比べてみます。
まず前提として、この3台はどれも水冷2気筒エンジンを搭載しており、基本的な構造は似ています。しかし、エンジンの味付け(出力特性)にはメーカーごとの哲学があり、それが微妙な燃費の差となって表れます。
実用燃費データの比較(ユーザー投稿サイト等の集計値目安)
| 車種 | 実用燃費レンジ | エンジンの特徴と傾向 |
|---|---|---|
| Honda CBR250RR | 25.0 〜 30.0 km/L | 高出力・高回転型だが、フリクション低減技術により巡航時は好燃費。 モードによる変動幅が大きい。 |
| Yamaha YZF-R25 | 27.0 〜 31.0 km/L | 扱いやすい特性で、安定して燃費が良いという評価が多い。 比較的燃費のバラつきが少ない優等生。 |
| Kawasaki Ninja 250 | 26.0 〜 27.5 km/L | CBR250RRと非常に近い数値。 スポーツ走行を好む層が多いためか、平均値はCBRと同等レベルに収束。 |
このデータから読み取れる事実は、「CBR250RRだけが極端に燃費が悪いという事実は存在しない」ということです。
YZF-R25がわずかに良い数値を出す傾向にありますが、その差はリッターあたり1〜2km程度。これは信号待ちの回数や、ライダーの体重、アクセルの開け方ひとつで簡単に逆転してしまうレベルの誤差です。Ninja 250と比較すれば、ほぼ互角と言っていいでしょう。
むしろ、CBR250RRはクラス最強の馬力(現行モデルで42ps)を叩き出していることを忘れてはいけません。一般的に「馬力が高い=ガソリンを多く消費する」のが物理の法則ですが、ホンダはエンジン内部の摩擦(フリクションロス)を極限まで減らす技術を投入することで、「クラス最強のパワー」と「ライバルと同等の燃費」を両立させているのです。
つまり、燃費効率(馬力あたりの燃費)という観点で見れば、CBR250RRはむしろライバル車よりも優秀なエンジンを積んでいるとさえ言えるかもしれません。「パワーがあるから燃費が悪い」のではなく、「パワーがあるのに燃費も悪くない」というのが正しい評価なのです。
年間維持費から見る燃費のリアル
燃費の良し悪しを議論する際、最終的に重要なのは「結局、私のお財布からいくら出ていくの?」という現実的なコストの話ですよね。燃費の違いが年間の維持費にどれくらいのインパクトを与えるのか、具体的な金額でシミュレーションしてみましょう。
ここでは、週末ライダーとして標準的な「月間500km走行(年間6,000km)」、ガソリン価格を「170円/L」と仮定して計算します。
燃費差によるガソリン代の比較(月額・年額)
- パターンA:燃費20km/Lの場合(Sport+多用、街乗りメイン)
月間ガソリン消費:25L
月額コスト:4,250円 / 年額コスト:51,000円 - パターンB:燃費30km/Lの場合(Comfort活用、ツーリングメイン)
月間ガソリン消費:約16.7L
月額コスト:約2,833円 / 年額コスト:約34,000円
いかがでしょうか。燃費を意識して乗るのと、何も考えずに乗るのとでは、年間で約17,000円の差が生まれます。これを「大きい」と感じるか、「誤差」と感じるかは人それぞれですが、見方を変えれば「月額1,400円程度を追加で払えば、あの刺激的なSport+モードの加速を楽しめる」とも言えます。
また、バイクの維持費全体で見れば、ガソリン代はあくまで一部に過ぎません。CBR250RRのようなスポーツバイクの場合、むしろ気をつけたいのは「タイヤ代」や「オイル代」です。ハイグリップタイヤを履いてサーキット走行などを楽しめば、タイヤは数千キロで寿命を迎え、交換費用に数万円が飛びます。それに比べれば、リッター数キロの燃費差が家計に与える影響は限定的です。
さらに重要なポイントとして、CBR250RRはレギュラーガソリン仕様(日本国内仕様)であるという点が挙げられます。高性能な輸入車や一部の大型バイクはハイオク指定であることが多く、その場合、単価が高いハイオクを入れ続けなければなりません。レギュラーでこれだけの高性能を楽しめるCBR250RRは、ランニングコストの面でも非常に優秀なパッケージングだと言えるでしょう。
ここまでで、車両自体のポテンシャルは決して悪くないことが分かりました。では、なぜ「燃費が悪い」と感じる人がいるのでしょうか? 次のセクションでは、無意識のうちに燃費を悪化させている原因と、それを解決する具体的なテクニックについて深掘りしていきます。
CBR250RRの燃費悪い評判を覆す対策

ここまで、CBR250RRの燃費性能がカタログスペックやライバル比較において決して劣っていないことを証明してきました。ではなぜ、一部のユーザーからは「燃費が悪い」という声が上がるのでしょうか。
その答えは、実はバイクそのものではなく、私たちライダーの「運用方法」に隠されていることが多いんです。「そんなバカな、普通に乗ってるだけだよ」と思われるかもしれませんが、高性能なスポーツバイクほど、ちょっとした乗り方の違いが燃費という結果にダイレクトに反映される敏感さを持っています。
ここからは、明日からの通勤やツーリングですぐに実践できる、燃費を劇的に改善するための具体的なテクニックと、見落としがちなメンテナンスポイントについて解説していきます。「楽しさ」を犠牲にせず、お財布にも優しい走り方をマスターしましょう。
燃費向上させる運転テクニック
燃費を左右する最大の要因、それは間違いなく「右手のコントロール(アクセルワーク)」です。CBR250RRのエンジンは高回転まで軽やかに回るため、ついつい回したくなってしまうのが人情ですが、燃費向上の鍵は「いかに無駄なガソリンをエンジンに送り込まないか」にかかっています。
具体的に意識してほしいポイントは以下の3つです。
今日からできるエコドライブの極意
- 「ふんわり」スタートを心がける
信号待ちからの発進時、シグナルグランプリのように急激にアクセルを開けていませんか? 発進時は最もエネルギーを使います。最初の5秒間でゆっくりと速度を乗せるイメージで、ジワッとアクセルを開けるだけで、燃料消費は大きく抑えられます。 - 早めのシフトアップ(4,000〜5,000回転を目安に)
CBR250RRは高回転型エンジンですが、実は低・中回転域のトルクもしっかり確保されています。街乗りなら4,000〜5,000回転も回せば十分に交通の流れをリードできます。レッドゾーン付近まで引っ張らず、早め早めにギアを上げていく「早めのシフトアップ」が効果絶大です。 - 一定速度をキープする(波状運転の防止)
無意識のうちにアクセルを開けたり閉じたりしていませんか? 加速と減速を繰り返す「波状運転」は、加速のたびにガソリンを濃く噴射するため燃費が悪化します。巡航時はアクセル開度を一定に保つよう意識しましょう。
特にCBR250RRオーナーにお伝えしたいのは、「6速ギア(トップギア)の積極活用」です。このバイクは6速でも低速から粘り強く走ってくれます。例えば、幹線道路で60km/hで流しているとき、4速で走るのと6速で走るのとでは、エンジン回転数に大きな差が出ますよね。
回転数が低いということは、それだけ単位時間あたりの爆発回数(=燃料噴射回数)が少ないということです。ズボラ運転と言われるかもしれませんが、街中でも積極的に高いギアを選択して、低い回転数でクルージングすることが、リッター30km超えを叩き出すための最短ルートなのです。
エンジンブレーキと燃費の関係性
燃費テクニックとしてよく話題になる「エンジンブレーキ」ですが、これには正しい使い方と誤った使い方があることをご存知でしょうか? ここを誤解していると、節約しているつもりで逆に燃費を悪化させてしまうことさえあります。
まず知っておいていただきたいのが、現代のインジェクション車(FI車)に備わっている「フューエルカット」という機能です。走行中にアクセルを全閉(スロットルオフ)にすると、ECUが「今は加速の必要がない」と判断し、エンジンへの燃料供給を完全にストップします。つまり、この瞬間は燃費が「無限大(燃料消費ゼロ)」になっているわけです。
このフューエルカットを最大限に活用することが、燃費向上の秘訣です。
- 良い例:早めのアクセルオフ
前方の信号が赤になったのが見えたら、まだ距離があってもすぐにアクセルを戻します。そのまま惰性でコロコロと転がりながら、エンジンブレーキだけで減速していく時間を長く取ります。この「空走距離」が長ければ長いほど、ガソリンを使わずに移動できる距離が増えることになります。
悪い例:過度なシフトダウンによるエンブレ
「エンブレを使えば燃費が良くなる」と信じて、減速時に必要以上に低いギアへ「ガチャガチャッ!」とシフトダウンし、エンジンを「ブォーン!」と高回転まで唸らせて減速する乗り方は要注意です。
確かにフューエルカットは働きますが、強力なエンジンブレーキは運動エネルギーを一気に熱として捨ててしまう行為でもあります。減速しすぎてしまい、再加速するためにまたアクセルを開ける…という本末転倒な操作になりがちです。また、ブリッピング(回転合わせ)操作自体も燃料を消費します。
理想は、ブレーキもエンジンブレーキも最小限で済むような、「予測運転」です。遠くの状況を見て、止まる必要があるなら早めにアクセルを離す。これだけで、ブレーキパッドの減りも抑えられ、燃費も伸びる。スムーズな減速こそが、スマートで経済的なライダーの証と言えるでしょう。
メンテナンス不足が招く燃費悪化

「最近、なんとなく燃費が落ちてきた気がする…」
もしそう感じているなら、それは運転のせいではなく、バイクからの「SOSサイン」かもしれません。機械的な抵抗(フリクション)が増えれば、エンジンは前に進むためにより多くのパワー(ガソリン)を使わなければならなくなります。
特に以下の3点は、燃費に直結する重要なチェックポイントです。
1. ドライブチェーンの状態
250ccクラスのパワーにおいて、チェーンの抵抗はバカにできません。サビだらけでガチガチに固まったチェーンや、油分が切れて動きの渋いチェーンは、エンジンの動力をリアタイヤに伝える過程で大きなロスを生みます。こまめに清掃・注油を行い、適切な張りに調整するだけで、押し引きが軽くなるのを実感できるはずです。押し引きが軽いということは、当然エンジンにとっても軽い=燃費が良いということです。
2. エアクリーナーの汚れ
エンジンはガソリンと空気を混ぜて燃やしています。エアクリーナーがホコリや汚れで詰まっている状態は、人間で言えばマスクをして全力疾走しているようなもの。必要な空気が吸えず、酸欠状態になります。するとコンピューターは理想的な燃焼ができなくなり、結果としてパワーダウンや燃費悪化を招きます。定期的な点検と交換は必須です。
3. ブレーキの引きずり
キャリパーのピストンが汚れて動きが悪くなると、ブレーキレバーを離してもパッドがディスクに触れたまま戻らない「引きずり」現象が起きます。これは常にブレーキを軽くかけながら走っているのと同じ状態です。当然、前に進むのに余計な力が必要になり、燃費は激減します。ホイールを手で回してみて、すぐに止まってしまうようなら要注意です。
これらのメンテナンスは、燃費だけでなく安全にも関わる重要な要素です。「燃費が悪いな」と思ったら、まずは愛車が健康な状態かどうかの健康診断をしてあげてください。
タイヤやカスタムと燃費への影響
最後に見落としがちなのが、「足回り」と「カスタム」の影響です。CBR250RRを自分好みにカスタムするのは楽しいですが、そのパーツ選びが燃費悪化の原因になっているかもしれません。
タイヤ空気圧の管理
これが最も手軽で、かつ効果の高い対策です。タイヤの空気圧は自然に抜けていきます。規定値より低い状態で走ると、タイヤが潰れて接地面積が増え、「転がり抵抗」が大きくなります。自転車のタイヤがペチャンコの時に漕ぐのが重いのと同じ理屈です。
月に一度はガソリンスタンドなどで空気圧をチェックし、規定値(または高速走行や燃費重視ならほんの少し高め)に合わせておくだけで、燃費は確実に改善します。
タイヤ銘柄の選び方
「せっかくのCBRだから」と、サーキット走行向けのハイグリップタイヤを履かせている方もいるでしょう。グリップ力が高いタイヤは、路面に食いつく力が強いため、必然的に転がり抵抗も大きくなり、燃費は悪化傾向になります。街乗りやツーリングがメインであれば、ツーリングタイヤ(スポーツツーリングタイヤ)を選ぶのが賢明です。最近のツーリングタイヤはグリップ性能も十分高く、ライフも長く、転がり抵抗も少ないため燃費向上に寄与します。
意外なカスタムの落とし穴
社外品のショートレバーなどに交換した際、取り付け精度が悪くてブレーキマスターシリンダーを微妙に押してしまい、前述の「ブレーキ引きずり」を引き起こしているケースがあります。カスタムパーツを取り付けた後は、必ず動作確認を行い、抵抗になっていないかチェックしましょう。
燃費に関するよくある質問Q&A
CBR250RRの燃費について、SNSや知恵袋などでよく見かける疑問をQ&A形式でまとめてみました。迷えるオーナーさんの参考になれば幸いです。
- ハイオクを入れたら燃費は良くなりますか?
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劇的に良くなることは期待できません。
CBR250RR(国内仕様)はレギュラーガソリンで最適な燃焼をするように設計されています。ハイオクは「オクタン価」が高く、異常燃焼(ノッキング)しにくい燃料ですが、レギュラー仕様車に入れてもパワーや燃費が向上するという明確なデータはありません。
むしろ、ハイオクを入れたことで「エンジン洗浄効果があるから回したほうがいい」「良いガソリンを入れたから速いはず」という心理が働き、無意識にアクセルを開けすぎて燃費が悪化するという皮肉な結果になることも(笑)。お財布のためにも、メーカー指定のレギュラーで十分です。 - 新車で購入して慣らし運転中ですが、燃費が悪いです。故障でしょうか?
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故障ではない可能性が高いです。
新車のエンジンは、ピストンやシリンダーなどの金属パーツ同士がまだ完全に馴染んでおらず、摩擦抵抗(フリクション)が比較的大きい状態にあります。これが「当たり」がつくまでの一時的な燃費悪化の原因になることがあります。
また、慣らし運転中は回転数を抑えて走るため、本来のパワーバンドを使えず、逆に効率の悪い領域で走っている可能性も考えられます。初回点検でオイル交換をし、エンジンがスムーズに回るようになれば、自然と数値は向上していくはずですので、焦らず育てていきましょう。 - フルエキマフラーに変えたら燃費が悪くなりました。
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吸排気のバランスが変わった影響が考えられます。
マフラー交換(特に抜けの良いフルエキゾースト)を行うと、排気効率が上がりますが、同時に低回転域のトルクが痩せてしまうことがあります。発進時により多くのアクセルを開けないと進まなくなるため、街乗り燃費が悪化するケースはよくあります。これはカスタムの代償として割り切るか、燃調(インジェクションセッティング)を見直すなどの対策が必要です。
CBR250RRの燃費悪い説の最終結論
ここまで、CBR250RRの燃費について、実データ、ライバル比較、そして乗り方のテクニックまで、長きにわたって検証してきました。
結論として言えることは、「CBR250RRは燃費が悪いバイクではない」ということです。
むしろ、クラス最強のパワーを持ちながら、乗り手次第でリッター30km以上の低燃費を実現できるポテンシャルを持った、極めて優秀なエンジニアリングの結晶です。「燃費が悪い」という噂の正体は、その高性能ゆえにライダーを「その気にさせてしまう」このバイクの魔力と、Sport+モードの刺激的な楽しさが生み出した、ある種の「嬉しい悲鳴」だったのかもしれません。
もしあなたが、「燃費が心配で購入を迷っている」のであれば、迷う必要はありません。Comfortモードを選び、適切なギアでスムーズに走れば、CBR250RRは通勤や通学の頼もしい相棒として、財布に優しい顔を見せてくれます。
そして週末になれば、Sport+モードに切り替えて、その牙を剥いた本来の性能を存分に楽しむ。
この「二面性」を自由に使い分けられることこそが、CBR250RRというバイクを持つ最大の喜びではないでしょうか。
燃費をコントロールするのは、バイクではなく、あなた自身の右手です。ぜひ、この最高の相棒と共に、賢く、長く、楽しいバイクライフを送ってくださいね。
※本記事の情報は一般的なデータに基づいた目安であり、実際の燃費は走行環境や個体差によって異なります。メンテナンス等の最終的な判断は専門のショップにご相談ください。
