こんにちは。デジタルバイクライブラリー、運営者の「ゆう」です。
今、ホンダのGB350がすごく気になっているけれど、「GB350遅い」という評判を見て、ちょっと不安になっていませんか?
確かにスペックを見ると「20馬力」という数字は、特にSR400と比較しても際立って高いわけではなく、高速道路での走行や追い越し加速が本当に大丈夫なのか、気になりますよね。
私もこのバイクに注目している一人として、その「遅い」と言われる理由がすごく気になっていました。
実際のところ、オーナーのインプレッションを調べてみると「楽しい」という声も多く、燃費もかなり良いみたいなんです。
この記事では、GB350が「遅い」と言われる本当の理由や、そのスペックに隠された設計思想、そして実際の走行性能について、私なりにインプットした情報を整理してお届けします。
- GB350が「遅い」と言われるスペック上の理由
- 「遅さ」と引き換えに得た「楽しさ」の秘密
- 高速道路や街乗りでのリアルな加速感
- オーナーが語る燃費性能とインプレ
「GB350は遅い」は本当?設計思想とスペック

まず、なぜGB350が「遅い」と言われてしまうのか、そのスペックやバイクの作られた背景(開発思想)を見ていきたいと思います。数字だけ見ると確かに不安になる「20馬力」ですが、そこにはホンダの明確な「こだわり」が隠されていました。スペックシートの数字の裏にある「真実」を一緒に見ていきましょう。
20馬力という馬力への疑問
GB350のスペック表を見て、多くの人が最初に「おや?」と思うのが、最高出力(馬力)ですよね。
GB350の最高出力は、わずか 20馬力(ps)/ 5,500rpm です。
例えば、一昔前の400ccクラスのスポーツモデル(4気筒など)は50馬力を超えるものもありましたし、現代の250ccスポーツバイク(例えばCBR250RRなど)ですら40馬力以上あります。そして、比較対象として最もよく挙げられるヤマハの空冷単気筒SR400(ファイナルエディション)ですら、24馬力 / 6,500rpmでした。
排気量が大きいにも関わらず、250ccのスポーツバイクの半分以下、ライバルだったSR400よりも低い馬力。この「20馬力」という絶対的な数値が、「GB350はパワーがない」「GB350は遅い」というイメージの最大の原因になっているのは、疑いようのない事実だと思います。
注意点:馬力だけで速さは決まらない
ただ、バイクの走行性能、特に私たちが公道で感じる「力強さ」や「扱いやすさ」は、最高出力(馬力)だけで決まるものではありません。
むしろ、GB350の価値を理解する上で本当に注目すべきなのは、馬力ではなく「トルク」なんです。
低回転トルク重視という理由
GB350のスペックで本当に注目すべきなのは、最高出力ではなく、最大トルクです。
GB350は、最大トルク 29N.m (3.0kgf.m) を、わずか 3,000rpm という非常に低い回転数で発生させます。(出典:Honda公式サイト「GB350」主要諸元)
これ、どういうことかと言うと…
一般的なバイクがエンジンを6,000rpmとか8,000rpmといった高回転まで回して、ようやく最大の「力(トルク)」を出すのに対して、GB350はアイドリングから少しスロットルを開けただけ、私たちが街中で最もよく使う回転域で、最大の力を発揮するように設計されているんです。
開発チームは「馬力なんて(高回転まで)回せば出る」と割り切り、「日常で一番使う3,000rpmのトルク」に異常なまでにこだわったそうです。
あえて選んだ「超ロングストローク」
そのこだわりを実現するために採用されたのが、シリンダーの内径(ボア)70mmに対し、ピストンの上下運動の距離(ストローク)が90.5mmという、現代では極めて珍しい「超ロングストローク」設定です。
この設定は、高回転まで回すのには不向き(=馬力が出にくい)ですが、その代わりに「粘り強いトルク」と「一発一発の爆発を感じる鼓動感」を生み出します。
つまり、GB350の「20馬力」というスペックは、技術的に出せなかったわけではなく、「高回転の速さ」をあえて捨てて、「低回転での力強さと心地よさ」を最優先した、意図的な「選択」の結果なんですね。
振動と調律された鼓動感
「単気筒エンジン」と聞くと、多くの人が「振動(ドコドコ感)」をイメージすると思います。これが魅力であると同時に、長距離を走ると疲労の原因(=雑味)にもなりますよね。
GB350が本当にすごいと思うのは、この振動をただ残したり、ただ消したりするのではなく、最新技術で「調律(チューニング)」している点です。
開発チームは「エンジンの気持ち良さ」について基礎研究を行ったそうで、そのこだわりが随所に見られます。
「雑味」を消し、「旨味」を増幅する技術
- 雑味を消す技術 ピストンの上下動による不快な「縦揺れ」を打ち消すため、ミッション・メインシャフトと同軸にバランサーを配置する「同軸バランサー」という凝った仕組みを採用しています。
- 旨味を伝える技術 一方で、エンジンが「ドンッ」と爆発して地面を蹴る「旨味(鼓動感)」はライダーに明確に伝えるため、あえてクラッチダンパーやハブダンパーを通常より「硬め」に設定しているそうです。
古いバイクの振動をそのまま再現するのではなく、燃料の噴射タイミングや点火時期も含めて高度に制御し、不要な「雑味」は消し去り、心地よい「旨味」だけを意図的にデザインしたのが、GB350の「クリアな鼓動感」なんですね。
エンジンと協調する「しなやかな」車体
この思想は車体(フレーム)にも貫かれています。
速さを追求するバイクがフレームの「高剛性化」を進めるのに対し、GB350はあえて「剛性を低く設定」し、適度な「しなり(フレックズゾーン)」を許容しています。これは、低回転・大トルクのエンジンの鼓動(低周波パルス)と車体を調和させ、路面からの入力をしなやかにいなすため。
この「しなやかな車体」と「調律されたエンジン」が一体となることで、GB350独自の「ゆったりとした操縦特性」を生み出しているんです。
SR400とのスペック比較

「GB350 遅い」と検索すると、必ずと言っていいほど比較対象に挙がるのが、長年愛された空冷単気筒のレジェンド、ヤマハのSR400ですよね。
私も気になったので、両者のスペックを(SR400はファイナルエディションを参考に)並べて比較してみました。
GB350 vs SR400 パフォーマンス比較(参考値)
| 項目 | Honda GB350 (現行) | Yamaha SR400 (Final Ed.) |
|---|---|---|
| エンジン形式 | 空冷4ストSOHC単気筒 | 空冷4ストSOHC単気筒 |
| 最高出力 | 20 ps / 5,500 rpm | 24 ps / 6,500 rpm |
| 最大トルク | 3.0 kgm / 3,000 rpm | 2.9 kgm / 3,000 rpm |
| 車両重量 | 180 kg | 175 kg |
| 電子制御 | トルクコントロール装備 | なし |
| 始動方式 | セルフスターター | キックのみ |
※数値はモデルや年式により異なる場合があります。あくまで参考としてご覧ください。
こうして見ると、非常に興味深いことがわかります。
確かに最高出力(馬力)はSR400の方が高く、より高回転まで回るエンジン特性だったことが伺えます。車両重量もSRの方がわずかに軽いですね。
しかし、公道での「力強さ」に直結する最大トルクは、GB350がSR400をわずかに上回っています。しかも、両車とも同じ3,000rpmで最大トルクを発生させており、この回転域をいかに重視していたかが分かります。
さらに決定的な違いは、GB350には現代的な電子制御(トルクコントロール)が標準装備されている点。これは雨の日や滑りやすい路面で、後輪のスリップを抑えてくれる安全装備です。ABSももちろん標準装備です。
スペック上は「高回転の伸び」でSRに軍配が上がるかもしれませんが、常用域での「力強さ」や「現代的な安全性・快適性(セル始動など)」ではGB350が勝っている部分も多い、と言えそうです。
オーナーが語る楽しさインプレ
スペックがどうであれ、やっぱり一番大事なのは「乗って楽しいか」ですよね。
実際のオーナーさんの声(インプレッション)を探してみると、「バイクがこんなに楽しいなんて思わなかった」「完全にハマった」というポジティブな意見が、本当に多く見つかります。
特に、「速さ」を第一に求めていないライダー層に、GB350の世界観が深く響いているみたいで…
- 「スペックなんてどうでもいい。この“ザ・単車”というデザインが好き」
- 「トコトコと響く、心地よい単気筒の排気音に癒やされる」
- 「ワインディングを攻めるんじゃなくて、海沿いの景色の良い道をノンビリ走るのが最高に楽しい」
こんなふうに、GB350が提供する「ゆったりとした乗り心地」や「バイクと過ごす時間」そのものに価値を感じている人が多い印象です。24歳のオーナーが「5分で予約した」というエピソードもあるほど、デザインやフィーリングに一目惚れする人が多いのも特徴ですね。
「速さ」という従来の物差しとはまったく別のところに、GB350の「楽しさ」の本質があるみたいです。
GB350は遅いが「楽しい」のか?実走行を検証

スペックや設計思想から「速さ」ではなく「味わい」重視なのは分かりました。じゃあ、実際の走行シーン…特に「GB350 遅い」と検索する人が一番気になっているであろう「高速道路」や「街中の加速」では、本当に不満がないのでしょうか? オーナーさんのリアルな声や、驚くべき実燃費もあわせて、その実態を検証していきましょう。
高速道路の巡航性能は?

「20馬力で高速道路はキツいんじゃない?」「合流や追い越しは大丈夫?」…これは誰もが不安に思う最重要ポイントだと思います。
結論から言うと、オーナーさんのレビューを総合すると、「得意ではないが、まったく問題なくこなせる」という評価に落ち着きます。
もちろん、時速140km以上で追い越し車線をビュンビュン飛ばしたり、登坂車線でアグレッシブな追い越しをかけたりするような走りを得意とするバイクではありません。
ですが、日本の高速道路の法定速度である時速80km〜100kmの範囲で、走行車線をゆったり巡航するぶんには、まったく力不足を感じない、という意見が大多数でした。
むしろ、あの超ロングストロークエンジンが生み出す「独特の鼓動感」と「しなやかな車体」が、ライダーに過度な緊張を強いることなく、非常にリラックスしたクルージングを提供してくれるみたいです。「時を忘れるクルージング感」「絶妙のサジ加減」なんて表現もあって、速度そのものよりも、移動の「質」がすごく高いんですね。
「遅い」と感じるかもしれない高回転域を使わないことが、逆に高速道路での「心地よさ」につながっている、というのは面白い発見です。
街乗りの加速感は十分か

高速道路よりも、むしろGB350の真価がハッキリと発揮されるのが、ストップ&ゴーの多い日常の「街乗り」かもしれません。
何度も言いますが、GB350はわずか3,000rpmで最大トルク3.0kgmを発生させます。
これは、信号が青になった瞬間、スロットルを(高回転まで回さず)少し開けるだけで、車体が期待通りに「ドンッ」と前に押し出される力強さがある、ということです。
高回転までエンジンを回してパワーバンドを維持する必要がまったくないので、頻繁にシフトチェンジする必要もなく、すごく「扱いやすい」「ズボラな運転ができる」とも言えます。どの回転域からでもスロットル一つで加速できるレスポンスの良さが、街中でのストレスを大幅に軽減してくれます。
街乗りでの「遅い」は感じにくい
もちろん、250ccのスポーツバイクのような「カーッ!」と伸びる鋭い加速はしません。でも、それはカテゴリ違いの比較です。
日常の速度域(0〜60km/h)において、「力不足」や「遅い」と感じるシーンは、ほとんどないんじゃないかな、と私は思います。
驚異的な燃費は遅さの恩恵
「遅い」=「高回転まで回さない」=「燃焼効率が良い」という設計思想は、オーナーにとって、ものすごく実利的なメリットをもたらしています。
それが、圧倒的な燃費性能です。
公式が発表しているWMTCモード値(国際基準の燃費測定法)でも 39.4 km/L (GB350 Cは 38.6 km/L) という、400ccクラスとは思えない卓越した数値を叩き出しています。
そして驚くべきは、オーナーさんたちの実燃費報告です。報告の平均値でも 37.09 km/L という素晴らしい数値が出ており、個別のレビューでは「普通に走って 40 km/L を超える」という報告がゴロゴロしています。中には、高速道路を時速90kmで巡航した際に「59 km/L を記録した」なんていう、にわかには信じがたい声も。
「Honda Super Cub 350だ」と揶揄(あるいは賞賛)するオーナーさんがいるのも納得です(笑)。
航続距離600kmオーバーの「精神的余裕」
GB350の燃料タンク容量は 15 L です。 仮に燃費を控えめに 40 km/L としても、単純計算で 15 × 40 = 600 km。無給油で 600 km 走れることになります。
これは単にガソリン代が節約できる(経済的メリット)というだけではありません。ツーリング中に「次のガソリンスタンドはどこだ…」と、ガス欠の心配をせず、どこまでも走っていけるという「精神的な余裕」を生み出します。この「ゆとり」こそが、GB350が目指す「ゆったりしたバイクライフ」の根幹を支えているんだなと感じますね。
(当サイトでもGB350の燃費について詳しくまとめた記事がありますので、よろしければそちらもどうぞ。
長距離でお尻は痛い?
さて、「遅い」とは別の観点で、GB350のネガティブなインプレッションとして時々見かけるのが、「シートの快適性」についてです。
皮肉なことに、燃費が良くてどこまでも走れてしまうがゆえに、「長距離を走るとお尻が痛くなる」という問題が顕在化しやすいようです。
あるレビューでは、「約5時間の連続走行で、さすがにお尻はちょっと痛いかな」という報告がなされています。
これはライダーの体格や体重、服装、走り方にもよるので一概には言えませんが、シート自体はやや硬めのセッティングなのかもしれません。もし長距離ツーリングをメインに考えているなら、以下のような対策も視野に入れておくと良いかもしれませんね。
- ゲルザブ(シートに乗せるクッション)を使用する
- シート自体をカスタム(加工)してアンコ抜きやゲル埋め込みをしてもらう
- こまめに休憩を取る
購入前の試乗やまたがりチェックがおすすめ
シートの硬さや足つき、ライディングポジションは、本当に個人差が大きいです。特に「お尻が痛い」という問題は、カタログやスペック表では絶対に分からない部分。
気になる方は、ぜひ一度レンタルバイクなどで試乗してみることを強くおすすめします。最低でも、販売店で実際にまたがって、ポジションを確認してみてください。
遅さを改善するマフラーカスタム
「GB350のスタイルや鼓動感は大好き。本当に気に入っている。でも、高速道路の合流とか、あともうちょっとだけ高回転の伸びが欲しい……!」
もしあなたがそう感じるなら、その「遅さ」を改善する(というか、GB350が持つ本来のポテンシャルを引き出す)手段もあります。
その代表格が、社外マフラー(特にエキゾーストパイプ)への交換です。
例えば、SP忠男の「POWERBOX パイプ」という人気製品に交換したオーナーさんからは、「走行時は特に4速からの高回転域の伸びがアップしていることを体感」「ノーマルとは違うバイクになる」といったレビューが報告されています。
これは、GB350の「遅さ」が、単なるポテンシャルの欠如ではなく、厳しい排ガス規制や騒音規制をクリアしつつ、あの「味わい」を出すために、あえて意図的に性能が抑制されている部分もある、ということの証明かもしれません。
カスタム次第でその封印を解き、オーナーの好みに合わせて「速さ」や「音」をプラスすることも可能なんですね。
【総括】GB350は遅い?
ここまでGB350について、スペックから実走行のインプレまで詳しく見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
「GB350 遅い」という検索クエリに対する私の最終的な結論は、「絶対的な“速さ”という基準で見れば“事実”だが、バイクの“楽しさ”という基準で見れば“真実”ではない」ということです。
GB350は、その「速さ」を意図的に放棄するという「英断」を下したバイクです。その代償として、
- 3,000 rpm でドンと来る、日常で使い切れる力強いトルク
- 最新技術で調律された、雑味のないクリアな鼓動感
- しなやかな車体が生む、せかせかしない「ゆったりとした時間」
- 圧倒的な燃費性能がもたらす「経済的・精神的なゆとり」
といった、現代の多くのバイクが効率化の中で失ってしまったかもしれない「味わい」を手に入れました。
もしあなたがバイクに、タイムや最高速といった「速さ」以外の価値、例えば「心地よさ」「ゆとり」「乗っている時間そのものの楽しさ」を求めているなら、「GB350 遅い」というネット上の評価は、このバイクを目の前にした瞬間に、きっとどうでも良くなってしまうんじゃないかな、と私は思います。
最終的な判断はご自身で
この記事で紹介した情報は、インプットしたデータベースやオーナーレビュー、公式サイトの情報に基づいた、私個人の見解です。バイクの「楽しさ」や「心地よさ」の感じ方には、本当に個人差があります。
この記事はあくまで一つの参考としていただき、最終的な購入の判断は、ご自身で実車に触れ、可能であれば試乗されたり、お近くの正規販売店で専門家の意見を聞いたりした上で、決定されることを強くおすすめします。
あなたのバイク選びが、最高のものになることを願っています!
