こんにちは。デジタルバイクライブラリー、運営者の「ゆう」です。
「いつになったら俺のX-ADVは来るんだろう…」と、毎日のようにカレンダーとスマホをにらめっこしている方も多いのではないでしょうか。
憧れのクロスオーバーモデルであるX-ADVですが、その納期に関しては、現在かなり深刻な状況が続いています。
2025年モデルの事実上の受注停止や、納車までの異例の長さ、さらには海の向こうから聞こえてくる2026年モデルの噂など、情報が錯綜していて不安になりますよね。
私自身もホンダのバイクが大好きで、特にこの唯一無二の「シティ・アドベンチャー」というコンセプトには強く惹かれています。
だからこそ、この状況をただ指をくわえて見ているわけにはいきません。
この記事では、現在X-ADVの購入を検討している、あるいは納車待ちの「同志」たちが知っておくべき納期の実態や、異常事態とも言える中古市場の動向、そして今私たちが取るべき最善の戦略について、徹底的にリサーチした情報をお届けします。
- 深刻化する納期遅延の具体的な期間と、その裏にある構造的な背景
- 2025年モデルと噂される2026年モデル、それぞれの特徴と選び方の決定打
- 新車価格を軽々と超えて高騰する中古市場の「異常な」実態と資産価値
- 「もう待てない!」という人が今すぐ検討すべき、現実的かつ賢い選択肢
X-ADVの納期遅延の現状と最新情報

まずは、皆さんが一番知りたいであろう「今注文したらいつ届くのか」という、痛いほど現実的な問いに向き合ってみましょう。X-ADVは、その人気ゆえに「買いたくても買えない」バイクの代名詞のようになってしまっています。メーカーや各販売店から発信される断片的な情報と、実際のユーザーの声を突き合わせ、現在のタイムラインを整理してみました。
納期遅延の原因と供給不足の背景

そもそも、なぜこれほどまでにX-ADVの納期が遅れに遅れているのでしょうか。「コロナの影響はもう終わったんじゃないの?」と思う方もいるかもしれませんが、実はもっと複雑で根深い要因がいくつも絡み合っているんです。
まず最大の要因として挙げられるのが、世界的な需要の爆発です。X-ADVは日本でも人気ですが、イタリアやフランスを中心とした欧州市場での人気は桁違いです。累計で6万台近くが販売されているというデータもあり、向こうでは街中を走るスクーターの多くがX-ADV、なんて光景も珍しくないそうです。
メーカーとしては、円安の状況下で利益率が高く、かつ確実に売れる欧州市場へ車両を優先的に割り当てざるを得ない…という経済的な事情が見え隠れします。
次に、高度な電子部品の供給課題です。X-ADVは、ただのスクーターではありません。DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)という複雑な変速機構に加え、TFTフルカラー液晶メーター、スマートキーシステム、そして2025年モデルからはクルーズコントロールまで搭載されました。
これらはすべて高度な半導体と制御ユニットを必要とします。半導体不足のピークは過ぎたと言われていますが、特定の専用チップやセンサーが一つでも欠ければ、バイクは完成しません。こういったサプライチェーンの「目詰まり」が、依然として生産ラインの足を引っ張っているのです。
加えて、世界的なコンテナ不足や物流の混乱も完全には解消されていません。熊本製作所で生産された車両が、部品待ちでラインオフできない、あるいは完成しても配送トラックの手配がつかないといった、物流面でのボトルネックも少なからず影響していると考えられます。
2025年モデルの受注停止と再開見込み
2025年モデルに関しては、非常にショッキングな情報をお伝えしなければなりません。複数の販売店やユーザーからの情報を総合すると、2025年の3月時点での新規発注に対して、納期が「2026年2月以降」と案内されるケースが多発しています。
これは「遅れている」というレベルを超えて、実質的な「オーダーストップ」に近い状態です。通常の量産バイクであれば、数ヶ月待てば納車されるのが一般的ですが、1年以上待つとなると、もはや予約注文というよりは「順番待ちの権利を得るためのエントリー」と言った方が正確かもしれません。
販売店の現場で起きていること
ホンダドリームなどの正規販売店では、各店舗ごとに年間の「割り当て台数」が決まっています。人気店であればあるほど、この割り当て枠は瞬殺で埋まってしまいます。
そのため、「受注停止」という公式アナウンスが出ていなくても、店舗レベルでは「もう今年度分(2025年モデル)の枠がないので、注文を受けられない」あるいは「注文を受けても、自動的に次の2026年モデルに振り替えられる」という説明がなされているのが実情です。
特に、新色の「マットゴールドフィンチイエロー」などの限定的なカラーは生産数が少なく、早期に受付を終了している店舗が多いようです。もし店舗で「まだ注文できますよ」と言われたら、それは奇跡に近い確率かもしれません。
オーダーストップ状態の工場出荷目処

ホンダ公式サイトなどで公開されている「工場出荷時期目処」のデータをご覧になったことはあるでしょうか。あの表に書かれている数字をどう読み解くかが、精神安定上とても重要になってきます。
例えば、「2025年11月に注文した分の出荷予定が2026年1月」といった記載があったとします。これを見て「お、3ヶ月で来るじゃん!」と喜ぶのは早計です。これはあくまで「メーカーの工場から出荷されるタイミング」であって、あなたの手元に届く日ではありません。
工場を出てから物流拠点を経由し、販売店に届き、そこから納車整備やオプションパーツの取り付け、ナンバー登録といった手続きを経て、ようやく納車となります。
さらに、この目処はあくまで「最短かつスムーズに行った場合」の理論値です。実際には、多くの店舗が抱えている大量のバックオーダー(予約残)を消化しなければなりません。あなたの注文がその列の何番目にあるかによって、実際の納期は目処よりも数ヶ月、下手をすれば半年以上遅れることがザラにあります。
「即納車あり」という表示を見かけることもあるかもしれませんが、これはキャンセルが出た車両や、見込み発注分が奇跡的に売れ残っていたごく稀なケースです。これを見つけたら、色や仕様が希望と多少違っても、即決するくらいの覚悟が必要です。
X-ADVの新型とモデルチェンジの噂
納期がここまで長期化すると、「今から2025年モデルを待つより、いっそ次の2026年モデルを待った方がいいのでは?」という迷いが生じるのは当然です。そして実際、欧州市場を中心に次期モデルに関する情報がちらほらと出てきています。
現時点で最も有力な情報は、環境配慮型素材「Durabio(デュラビオ)」の採用拡大と、カラーリングの刷新です。実は2025年モデルから、X-ADVの一部外装(フロントスクリーンやカウルの一部)には、三菱ケミカルが開発したバイオエンジニアリングプラスチック「Durabio」が採用されています。
これは植物由来の原料を使用しており、塗装をしなくても鮮やかな発色と光沢が得られるという画期的な素材です。
2026年モデルでは、このDurabioの使用箇所がさらに拡大されるという噂があります。また、欧州ホンダの動向を見ると、毎年魅力的な新色が投入されています。特に、ホンダの象徴とも言える「トリコロールカラー」の新しいグラフィックパターンや、より都会的なマットカラーの追加などが予想されています。
(出典:本田技研工業株式会社 ニュースリリース「大型クロスオーバーモデル「X-ADV」の一部外観変更と装備充実を行い発売」)
2026年モデルを待つべきかの判断基準
では、究極の選択です。「今の予約を維持して2025年モデルを待つか」それとも「キャンセルして2026年モデルに賭けるか」。この判断を誤らないために、いくつかの基準を提示したいと思います。
まず結論から言うと、「基本性能(走り)」を重視するなら、今の予約は絶対に手放してはいけません。 なぜなら、2026年モデルでエンジンやフレーム、足回りといった根幹部分に大きな変更が入る可能性は極めて低いからです。
2025年モデルでのマイナーチェンジ(クルーズコントロール搭載、DCTの低速制御改良、シート形状変更)によって、X-ADVはすでに「完成形」と言えるレベルに達しています。これ以上の劇的な進化は、フルモデルチェンジまで期待できないでしょう。
2026年モデルを待つ価値があるのはこんな人
- デザイン至上主義の人: 「今のカラーラインナップには正直ピンときていない」「どうしても新色のトリコロールが欲しい」という場合は、待つ価値があります。
- 最新スペック至上主義の人: 「型落ち」になるのが生理的に許せない、常に最新の年式に乗っていたいという方は、2026年モデルのアナウンスを待つべきです。
ただし、忘れてはいけないリスクがあります。それは「2026年モデルを待つことで、さらに納期が1年延びるかもしれない」という点です。世界的な需要が落ち着かない限り、2026年モデルも争奪戦になることは火を見るより明らかです。
納車情報をブログやSNSで確認する方法

先の見えない長い待ち時間を過ごす上で、情報の鮮度は命綱です。販売店からの連絡を待つだけでなく、自ら情報を取りに行く姿勢が重要です。
おすすめなのは、X(旧Twitter)や「みんカラ」などのブログで、自分と同じ境遇の「納車待ち勢」の動向をチェックすることです。検索窓に「X-ADV 納車」「X-ADV 納期」と入れてみてください。「2月に契約して今日納車されました!」という報告や、「3月に頼んだのにお店から来年って言われた…」という悲痛な叫びが見つかるはずです。
これらのリアルな声を時系列で並べていくと、「納期の断層」が見えてきます。「どうやら○月○日までの注文分までは年内に来るらしい」「それ以降は一気に納期が未定になっている」といった傾向を掴むことで、自分の車両がいつ頃来そうか、ある程度の予測を立てることができますし、心の準備もできます。
X-ADVの納期を待てない時の対策

「1年も待てるか!俺は今すぐこの季節の風を感じたいんだ!」という魂の叫び、痛いほどわかります。バイクは乗りたい時が乗り時ですからね。では、新車の納期を待てない場合、どのような選択肢があるのでしょうか。ここからは、少し視点を変えた「X-ADVに乗るための戦略」をお話しします。
中古価格が高騰する理由と現在の相場
新車が手に入らないとなれば、当然みんなが目を向けるのが中古車市場です。しかし、現在のX-ADVの中古相場は、はっきり言って「異常」です。
大手中古車サイトを見てみると、走行距離が数百キロ、あるいは登録済みの未使用車といった「新車同然」の個体が、新車価格(約144万円)を遥かに上回る165万円〜170万円台で取引されています。「中古なのに新車より高いなんて詐欺じゃないか!」と怒りたくなる気持ちもわかりますが、経済学的にはこれを「時間の価値」と捉えることができます。
つまり、購入者は車両代金に加えて、「1年という待ち時間を短縮するための特急料金」として20万円〜30万円を支払っているわけです。週末の貴重なツーリングの時間や、人生における「乗れる期間」をお金で買っていると考えれば、このプレミアム価格もあながち不当とは言えないのかもしれません。
リセールバリューと買取価格の上昇
この中古価格の高騰は、裏を返せば「資産価値がとてつもなく高い」ということを意味します。
もしあなたがプレミアム価格で中古車を購入したとしても、その車両の価値は簡単には下がりません。なぜなら、新車の供給不足が解消されない限り、高く売りたい需要はずっと続くからです。実際、業者間オークションのデータなどを見ると、走行距離が1万キロや2万キロを超えている車両でも、驚くほどの高値で取引されています。
| 車両状態 | 推定店頭価格 | 新車価格との差 |
|---|---|---|
| 登録済未使用車 | 165〜175万円 | +20〜30万円 |
| 走行〜5,000km | 155〜165万円 | +10〜20万円 |
| 走行1万km前後 | 140〜150万円 | ほぼ同等 |
つまり、「高く買って、高く売れる」のです。仮に20万円高く買っても、1年乗って売却した時に買った値段に近い金額で売れれば、実質的な所有コスト(レンタル代のようなもの)は非常に安く済む可能性があります。「損をする」というよりは、「資金を一時的にX-ADVという資産に変えておく」という感覚に近いかもしれませんね。
グーバイクなどの中古車在庫状況の確認
しかし、問題はお金だけではありません。「モノがない」のです。GooBike(グーバイク)などの検索サイトで全国の在庫を検索してみてください。おそらく、ヒットする台数の少なさに驚愕するはずです。全国で数十台、条件を絞れば数台…というレベルです。
この状況下では、中古車選びは完全に「スピード勝負」です。良い条件の車両が掲載されたら、その日のうちに電話で問い合わせて、手付金を入れるくらいの勢いがなければ手に入りません。「週末に見に行こうかな」なんて悠長なことを言っている間に、その車両は確実に売れてしまいます。
対策としては、お気に入りの中古車サイトで検索条件を保存し、新着通知をオンにしておくこと。そして、自宅から遠い販売店であっても、通販や配送での購入を視野に入れてエリアを全国に広げて探すことが重要です。
足つきの改善と人気色の在庫への影響
2025年モデルからシート形状が見直され、足つき性が改善されたことも、実は在庫不足に拍車をかけています。「X-ADVはカッコいいけど、足がつかないから無理」と諦めていた層が、この改良によって一気に購入検討の土俵に上がってきたからです。
特に、どんなウェアにも合わせやすい「マットディープマッドグレー」や「グラファイトブラック(※欧州仕様色だが並行輸入等で見かける場合も)」といった人気色は、中古市場でも瞬間蒸発します。逆に狙い目なのは、好みが分かれる派手なカラーや、カスタムが施された車両です。
「色は妥協できる」「カスタムパーツ代が浮いてラッキー」とポジティブに捉えることができれば、ライバルより一足先にX-ADVオーナーになれる確率はぐっと上がります。
レンタルバイクで待つ期間を楽しむ方法
「プレミアム価格の中古を買うのはさすがに抵抗がある…でも乗りたい!」という方には、レンタルバイクという選択肢を強くおすすめします。
「レンタル819」や「ホンダGOバイクレンタル」などのサービスでは、最新のX-ADVを配備している店舗があります。もちろんレンタル車両も人気ですが、1年待つことに比べれば、予約は遥かに取りやすいはずです。
購入までの「繋ぎ」として、月に一度のツーリングでX-ADVを借りて楽しむ。これは非常に理にかなった方法です。
レンタルには意外なメリットもあります。それは「長期試乗」ができることです。1時間程度のディーラー試乗ではわからない、高速道路での防風性能や、長時間座った時のお尻の痛み具合、取り回しの重さなどを、1日かけてじっくりチェックできます。
高い買い物をする前に、自分のライフスタイルに本当に合っているかを確認できるのは、大きな安心材料になるはずです。
X-ADVの納期遅延に関する今後の見通し
最後に、今後の見通しについてまとめます。残念ながら、この納期遅延が年内に劇的に解消し、どの店舗でも即納になる…というシナリオは極めて可能性が低いです。
2025年モデルを今から注文しても、納車は2026年春以降になる可能性が高いですし、中古相場の高騰もしばらくは続くでしょう。しかし、だからこそX-ADVは「待ってでも乗る価値がある」「所有する喜びが大きい」特別なバイクだとも言えます。
正規店で予約を入れて気長に待つか、時間を買うつもりで中古市場に飛び込むか、あるいはレンタルで美味しいとこ取りをするか。どの道を選ぶにせよ、X-ADVという最高の相棒と出会うためのプロセスだと思って、今の状況を楽しんでしまうくらいの気持ちでいるのが良いかもしれません。
この記事が、あなたのX-ADV選びの参考になり、一日も早くそのシートに跨れる日が来ることを心から願っています。
※本記事の情報は執筆時点のものです。正確な納期や在庫状況については、必ずお近くのホンダドリームや販売店に直接ご確認ください。
