スーパーカブで二人乗りを楽しみたいけれど、どのタンデムシートを選べばよいか迷っていませんか。
ひとくちにスーパーカブ タンデムシートと言っても種類が多く、ご自身のスーパーカブ110やC125に適合するのか分かりにくいものです。
また、取り付けは自分で簡単にできるのか、品質が安心な純正オプションは存在するのか、さらにはリアボックスを背もたれ代わりにできるのか、といった具体的な疑問も次々に出てくるはずです。
この記事では、そうしたスーパーカブのタンデムシートに関するあらゆる疑問に答えるため、基本的な知識から車種ごとのおすすめ製品、交換時の注意点まで、詳しく解説します。
- タンデムシートの種類(ピリオン/ダブル)ごとの特徴
- 車種(110やC125)に適合するシートの選び方
- 純正品や主要メーカー製シートの違いと取り付け方法
- シート交換時に確認すべきメリットと注意点
スーパーカブのタンデムシート基礎知識

- タンデムシートの種類と選び方
- ピリオンシートとダブルシートの違い
- タンデムシートの取り付け方法
- 純正オプションのタンデムシート
- 背もたれ代わりになるリアボックス
タンデムシートの種類と選び方
スーパーカブ用のタンデムシートは、大きく分けて2つのタイプが存在します。それは、リアキャリアの上に取り付ける「ピリオンシート」と、メインシートと一体化した「ダブルシート(ロングシート)」です。
どちらを選ぶかは、主に用途、デザインの好み、予算、そして取り付けの手間をどの程度許容できるかによって決まります。
例えば、普段は通勤や買い物で荷物を積むキャリアとして使い、週末だけ時々二人乗りをしたい、という用途であれば、脱着が容易なピリオンシートが適しています。
一方で、二人乗りの頻度が高い場合や、車体全体のスタイルをクラシックに、またはスポーティーに一新したい場合は、デザインの一体感が高いダブルシートが選ばれることが多いです。
以下の比較表も参考に、ご自身のスーパーカブの楽しみ方に最も合うタイプを選んでみてください。
| 比較項目 | ピリオンシート(リアシート) | ダブルシート(ロングシート) |
| 主な用途 | 荷物の積載と二人乗りを両立・使い分けたい | 二人乗りの頻度が高い、スタイルを重視したい |
| デザイン | 後付け感が出やすい(座布団型など) | 車体全体に一体感が出る、カスタム感が強い |
| 積載能力 | 取り外せば純正キャリアのまま使用可能 | 純正キャリア非対応が多く、積載量が減る可能性あり |
| 取り付け | 工具不要・ワンタッチで脱着可能な製品が多い | シート全体の交換作業が必要(ヒンジボルト等) |
| 快適性 | 製品によるが、補助的な座り心地のものが多い | 一体型のためポジションの自由度があり快適な製品も多い |
それぞれの特徴を深く理解し、ご自身の使い方に合ったタイプを選ぶことが、満足のいくカスタムへの第一歩となります。
ピリオンシートとダブルシートの違い
ピリオンシートとダブルシートは、形状だけでなく機能面や取り付け後の運用において明確な違いがあります。
ピリオンシート(リアシート)
ピリオンシートは、スーパーカブの標準装備であるリアキャリアに取り付けるタイプの補助シートです。
最大のメリットは、その手軽さと柔軟性です。前述の通り、工具を使わずに簡単に脱着できる製品が多く、用途に応じてキャリア(荷台)とシート(座席)を瞬時に切り替えられます。これにより、スーパーカブ本来の積載性を損なうことがありません。
一方、デメリットとしては、デザイン面が挙げられます。多くは四角い座布団のような形状をしており、どうしても「後付け感」が出てしまいます。また、メインシートと色や素材感が微妙に異なり、一体感に欠ける場合があることも考慮に入れると良いでしょう。
ダブルシート(ロングシート)
ダブルシートは、運転席から後部座席までが一体となった長いシートを指します。純正のシートとヒンジごと交換するのが一般的です。
このタイプの最大のメリットは、何といってもそのデザイン性です。シート全体が交換されるため、車体のシルエットが大きく変わり、クラシックな雰囲気やカフェレーサー風など、オーナーの好みに合わせたスタイルを強く演出できます。また、シートが一体型のためタンデムする人が座る位置の自由度もやや高くなり、運転者との距離も近くなります。
デメリットは、純正のリアキャリアを取り外す必要がある製品が多いことです。これにより、荷物の積載量が大幅に減ってしまう可能性があります。ただし、製品によってはアウトスタンディング製のダブルシートのように、純正リアキャリアと併用できるタイプも存在するため、積載性を維持したい場合はそうした製品を選ぶ必要があります。
タンデムシートの取り付け方法
タンデムシートの取り付け方法は、ピリオンシートかダブルシートかによって大きく異なります。
ピリオンシートの場合、非常に簡単な作業で完了する製品が主流です。例えば、SP武川製やエンデュランス製のピリオンシートは、純正キャリアの形状に合わせて設計されており、キャリアにはめ込んだり、フックを引っかけたりするだけで固定が完了します。これらは工具を一切必要とせず、ワンタッチで手軽に取り外しができるため、メンテナンス性にも非常に優れています。
一方、ダブルシートの場合は、もう少し本格的な作業が必要です。多くは、純正シートを固定しているヒンジ部分のナット(給油口の下あたりにあります)をレンチで外し、シート全体を取り外します。その後、新しいダブルシートに純正のヒンジやゴムワッシャーを移植し、逆の手順で車体に固定します。
データベースにあったキジマ製ダブルシートのレビューでは、シートロックの遊び幅が小さく、ロックがかかりやすくなるよう微調整(ワッシャーを追加するなどの加工)が必要だったという声もありました。
いずれのタイプであっても、取り付け作業自体はDIYの範囲で十分可能ですが、特にダブルシートの交換時は、製品の取扱説明書をよく読み、ボルトの締め付けトルクなどに注意しながら正しく装着することが安全上、非常に大切です。
純正オプションのタンデムシート
スーパーカブのタンデムシートにおいて、ホンダ純正オプションの状況はモデルによって異なります。
特に注目すべきはスーパーカブC125です。C125は、2021年のマイナーチェンジモデル(型式:JA58)以降、ホンダの純正オプションとしてピリオンシートが設定されました。最大のメリットは、C125の上質なメインシートと全く同じ色味(赤またはグレーツートン)と質感で統一できる点です。これにより、デザインの一体感をまったく損なわずにタンデム仕様にできます。
前期型(JA48)のオーナーが、この後期型(JA58)の純正シート(メイン・タンデム)を取り付けるカスタム例もあります。データベースの情報によれば、メインシート自体のヒンジや周辺パーツは共通品番が使われているため流用は可能なようです。ただし、純正ピリオンシートはJA58のキャリア形状に合わせて裏側が設計されているため、JA48のキャリアにそのまま装着できるかは注意が必要です。
一方、国内仕様のスーパーカブ110(JA44/JA59など)には、新車購入時のホンダ純正オプションとしてタンデムシートは用意されていません。これは、110がビジネス用途や一人乗りを基本としているためと考えられます。
ただし、タンデムが一般的なタイホンダの純正タンデムシートを、国内仕様の110に取り付け可能にするための専用キットが、ワールドウォークなどのパーツメーカーから開発・販売されています。これらは純正品ならではの品質とフィット感を求めるユーザーにとって、有力な選択肢となります。
背もたれ代わりになるリアボックス

タンデム走行時の安全性と快適性を高める上で、リアボックスが非常に有効な役割を果たす場合があります。
タンデムに慣れていない同乗者は、発進時や加速時に体が後ろに持っていかれる感覚や、後ろに落ちてしまうのではないかという不安を抱きがちです。
この点で、背もたれ(バックレスト)パッドが付いているリアボックスは、同乗者にとって大きな安心材料となります。物理的に体を支えてくれるため、運転者も同乗者も余計な力が入らず、リラックスして走行できます。
ピリオンシートとリアボックスを併用する場合、問題となるのがキャリアの長さです。標準のキャリアでは両方を設置するスペースが足りないことがほとんどです。
この問題を解決するのが、ワールドウォーク製などに代表される「ロングリアキャリア」です。これらはタンデムシートとリアボックスの併設を前提に長く設計されています。
また、「スライドキャリア」というユニークな製品もあり、これはボックスを載せたままキャリア自体を後方にスライドさせ、タンデムスペースを確保できる便利なアイテムです。ボックスがそのまま背もたれの代わりになるため、キャンプツーリングなどで積載性を確保しつつ二人乗りもしたい、といった場合に最適です。
車種別スーパーカブ タンデムシート紹介

- スーパーカブ110対応シート
- スーパーカブC125対応シート
- おすすめのダブルシート紹介
- おすすめのピリオンシート紹介
- シート交換時の注意点
- 最適なスーパーカブ タンデムシートを
スーパーカブ110対応シート
スーパーカブ110(適合型式:JA59、JA44、JA10など)は、国内で最も普及しているモデルの一つであり、タンデムシートの選択肢が非常に豊富な点が魅力です。
手軽なピリオンシートであれば、前述のSP武川やエンデュランスの製品がJA59やJA44に適合しており、工具不要で簡単に取り付けられる手軽さが人気を集めています。
スタイルを一新するダブルシート(ロングシート)も同様に多くのメーカーから販売されています。例えば、キジマ製のクラシックなダブルシート、アウトスタンディング製のタックロール仕様、東京堂製の純正シートの雰囲気を残したWシートなどが、JA59やJA44に対応しています。
また、スーパーカブ110用には、タンデム用途とは直接関係ありませんが、ローダウンシートのラインナップも豊富です。TWR、アウトスタンディング、東京堂などから、足つき性を改善しつつデザイン性も高めたカスタムシングルシートが提供されています。足つきが良くなることは、二人乗りで車重が増えた際の停止時や取り回しにおいて、安定感が増すという間接的なメリットにも繋がります。
スーパーカブC125対応シート
スーパーカブC125(適合型式:JA58、JA48)は、110系とは異なる専用設計のパーツが多くなっています。これは、C125がデザインや質感を重視したプレミアムモデルであり、車体構造や外装パーツが独自設計となっているためです。
特筆すべき点として、ヨーロッパで発表された2025年モデルでは、タンデムシート(パッセンジャーシート)とフットペグが標準装備となりました。これは、C125のキャラクターが実用性だけでなく、レジャーや二人乗りでの移動手段としても世界的に認識されていることを示しています。
国内モデルにおいては、前述の通り、後期型(JA58)から純正オプションでピリオンシートが設定されました。前期型(JA48)のオーナーが後期型(JA58)の純正シート(メイン・タンデム)を取り付けるカスタム例があります。メインシートの品番(77100-K0G-XXX)はヒンジや周辺パーツが共通なため流用可能とみられますが、純正ピリオンシートはJA58のキャリア形状に合わせて設計されているため、JA48のキャリアに取り付ける際には何らかの調整が必要になる可能性があるため注意が必要です。
とはいえ、メインシートとピリオンシートの色と質感を完全に統一できる「純正品」という選択肢があることは、C125オーナーにとって大きな魅力と言えます。
おすすめのダブルシート紹介
ダブルシート(ロングシート)は、スーパーカブのスタイルを大きく変え、タンデムをより快適にするカスタムパーツです。ここでは、データベースで紹介されている代表的な製品の特徴をまとめます。
| 製品名 | 主な特徴 | デザイン | キャリア | 適合例 |
| キジマ ダブルシート | クラシックな雰囲気。 タンデム時も快適とのレビューあり。 | 旧車風 | 要確認(製品による) | JA59, JA44 |
| アウトスタンディング W338 | 純正キャリアと併用可能。 ナット2個で簡単装着。 | タックロール / 白パイピング | 併用可 | JA59, JA44, JA10 |
| 東京堂 Wシート JA10WS | 純正風。 キャリアを外さず装着可(吸盤+横ずれ防止)。 | 純正延長風 | 併用可 | JA59, JA44, JA10 |
キジマ ダブルシート
旧車のような雰囲気を持つクラシックなデザインが特徴です。レビューによれば、シートのクッション量(あんこ)も程よく、タンデム時の座り心地も良いと評価されています。ただし、個体によってはシートロックの遊び幅が小さく、取り付けに微調整が必要な場合があるようです。
アウトスタンディング ダブルシート W338
タックロール仕様にホワイトのパイピングが施された、カスタム感の強いシートです。純正リアキャリアと併用できるタイプであり、ナットを2個外すだけで簡単に装着可能とされています。
東京堂 Wシート JA10WS
純正シートをそのままリアキャリア部分まで延長したような、非常に自然なデザインが特徴です。純正の雰囲気を崩さずに二人乗り仕様にしたい人に最適です。キャリアを外す必要がなく、シート裏の吸盤と荷台の穴にはまるプラスチックの棒で横ずれを防ぐ仕組みが評価されています。レビューによると、純正より若干シート高が上がるとのことです。
おすすめのピリオンシート紹介
ピリオンシート(リアシート)は、手軽にタンデムを実現したい場合に最適です。工具不要で脱着できるモデルが人気を集めています。
| 製品名 | 取り付け方法 | 特徴 | 適合例 |
| SP武川 ピリオンシート | 工具不要(はめ込み式) | ホンダオフィシャルパーツ。 座り心地良好。 | JA59, JA44, JA10等 |
| エンデュランス タンデムシート | 工具不要(ワンタッチ) | 固定力が高い。 脱着が容易でメンテナンス性良好。 | JA59, JA44 |
SP武川 ピリオンシート
キャリアにはめ込むだけで簡単に脱着が可能なリアシートです。ホンダのオフィシャルカスタマイズパーツにもラインナップされており、その品質には高い信頼性があります。レビューでは、座り心地が良いという評価が多い一方で、デザインがシンプルな四角い座布団型である点を指摘する声もありました。
エンデュランス タンデムシート
こちらも純正キャリアに工具不要で取り付けられるタンデムシートです。ワンタッチで取り外しできるため、キャリアをタンデムと荷台で頻繁に使い分けたい人に適しています。レビューによれば、爪を引っかけるのが少し硬いものの、その分ガッチリと固定されて安心感があるとのことです。
シート交換時の注意点
タンデムシートへの交換は、スーパーカブカスタムの第一歩として人気ですが、安全に関わるパーツでもあるため、いくつか注意すべき点があります。
第一に、適合型式の確認は必須です。スーパーカブは年代やモデル(110、C125、クロスカブなど)によって、車体、フレーム、キャリアの形状が細かく異なります。JA44用がJA59にも使えるか、JA10用はJA44に付くかなど、素人判断は禁物です。必ず製品メーカーが提示している適合表を確認し、ご自身の車体型式に適合した製品を選んでください。
第二に、クッション性と足つきの変化です。特にKEPSPEEDの厚さ5cmの超薄型シートのように、見た目を重視した製品は、スタイリッシュになる半面、クッション性が犠牲になりがちです。レビューでも「お尻が痛い」との声があり、長距離走行には不向きな可能性があります。
逆に、東京堂の薄型シングルシートは、足つきが劇的に改善(「たかが数cm、されど数cm」)し、150cm未満の方でも乗りやすくなったというレビューがある一方、クッション性は低下し1時間程度で痛みが出るという声もあります。
また、スーパーカブ110にクロスカブのシート(約2cm高い)を流用すると、ライディングポジションが安定するというメリットも報告されており、シート交換はポジションに影響を与えることを認識しておきましょう。
最後に、リアキャリアや他のパーツとの干渉です。特にダブルシートの場合、製品によっては純正キャリアが使えなくなるだけでなく、社外品のリアキャリアや、サイドバッグサポート、リアショックなど、他のカスタムパーツと物理的に干渉する可能性があります。レビューなどを参考に、ご自身の車両の仕様と干渉しないか確認することが推奨されます。
【総括】最適なスーパーカブ タンデムシートを
スーパーカブのタンデムシートについて、基本的な知識から具体的な製品、注意点まで詳しく解説しました。
ご自身のスーパーカブで安全・快適に二人乗りを楽しむために、この記事で紹介したポイントが役立てば幸いです。最後に、記事の要点をまとめます。
- スーパーカブのタンデムシートは主に2種類
- ピリオンシートはキャリアに載せる補助的なタイプ
- ダブルシートは運転席と一体型のロングタイプ
- ピリオンシートは脱着が簡単な製品が多く、積載との両立に便利
- ダブルシートはデザイン性が高く、車体との一体感が魅力
- ピリオンシートはSP武川やエンデュランス製が工具不要で人気
- ダブルシートはキジマ、アウトスタンディング、東京堂など選択肢が豊富
- ダブルシートは純正キャリアと併用できるかも確認が必要
- 取り付けはピリオンが手軽、ダブルはヒンジ交換作業が伴う
- スーパーカブ110(JA44/JA59)は社外シートの選択肢が非常に多い
- スーパーカブC125(JA58)は純正オプションのピリオンシートがある
- C125(JA48)への純正流用はメインシートは可能だがピリオンは要注意
- C125の欧州2025年モデルはタンデムシートが標準装備
- リアボックスは背もたれ代わりになり同乗者の安心感を高める
- ボックス併用にはロングキャリアやスライドキャリアが有効
- シート交換時は必ず適合型式を確認することが最も重要
- 薄型シートは足つきが改善するがクッション性が低下する傾向
- 他のカスタムパーツ(キャリア、サポート類)との干渉にも注意する
- ご自身の用途(頻度、デザイン、積載)に合ったシートを選ぶことが満足への鍵
