スーパーカブの角目はダサい。
そんなイメージが先行し、購入の選択肢から外してしまっている方も多いかもしれません。
確かに、伝統的な丸目モデルの愛らしい印象が強いだけに、角目のシャープで独特なデザインは好みが分かれがちです。
しかし、その評価は本当でしょうか。
角目と丸目には明確なデザインコンセプトの違いがあり、年式によっても異なる特徴を持っています。
実際の口コミを調べると、その無骨なスタイルが逆に渋いという声や、カスタムベースとしての高いポテンシャルを評価する意見も少なくありません。
この記事では、スーパーカブの角目がダサいと言われる理由を深掘りしつつ、中古市場での現在の評価も踏まえながら、その知られざる本当の魅力について詳しく解説していきます。
- 角目モデルがダサいと言われる具体的な理由
- 伝統的な丸目モデルとのデザインや仕様の違い
- 角目モデルが持つ「渋い」といった魅力や実用性
- カスタムベースとしての中古車の価値と選び方
スーパーカブの角目はダサいと言われる背景

- なぜ角目はダサいと評価されるのか
- 角目と丸目のデザインの違い
- 実際の口コミや世間の評判
- 角目モデルの年式による特徴
- 国内と海外での評価の違い
なぜ角目はダサいと評価されるのか
スーパーカブの角目モデルが「ダサい」と評価される主な理由は、スーパーカブが長年培ってきた伝統的なイメージと大きく異なる点にあります。多くの人々にとって、「カブ」といえば1958年の登場以来、半世紀以上にわたって親しまれてきた丸いヘッドライトと、レッグシールドからリアフェンダーにかけての丸みを帯びた親しみやすいデザインが象徴です。
このため、1982年に初めて角目モデル(スーパーカブ50SDX)が登場した際、その直線的でビジネスライクな外観は「カブらしさがない」という強い違和感を与えました。登場当時は、角目ヘッドライトやセルスターターを装備した上位機種としての位置づけでしたが、時代が下るにつれ、趣味やファッションとしてカブに乗る層からは、無機質で面白みに欠けるデザイン、あるいは「商用車っぽさ」が強すぎると捉えられがちになりました。
また、2012年に登場したAA04型と呼ばれる角目モデルは、ホンダのグローバル戦略に基づき、生産拠点が日本の熊本製作所から中国の新大洲本田(しんたいしゅうほんだ)に移管された時期がありました。この生産背景から「中華カブ」と揶揄されることもあり、一部の熱心な国内生産ファンからは、品質に対する漠然とした懸念がデザインの評価と結びついてしまった側面も、不人気とされるイメージに影響を与えたと考えられます。
角目と丸目のデザインの違い
スーパーカブの丸目モデルと角目モデルの最大の違いは、そのデザインコンセプトにあります。それぞれのデザインが持つ特徴は対照的です。
丸目カブのデザイン

丸目カブは、クラシックで親しみやすい雰囲気が最大の特徴です。レトロなデザインを好む人々から世代を超えて根強い支持を受けており、「かわいい」「温かみがある」「愛嬌がある」といった感想を持つユーザーも少なくありません。スーパーカブの原点とも言える普遍的なデザインであり、多くのファンにとって「カブ=丸目」という認識が強く残っています。柔らかな曲線で構成されたレッグシールドとの一体感も、丸目デザインの魅力の一つです。
角目カブのデザイン

一方で、角目カブは四角いヘッドライトを採用し、よりシャープで現代的な印象を与えます。ヘッドライトだけでなく、ウインカーやメーターパネル周りも直線的なデザインで統一されているモデルが多く見られます。このデザインは、ビジネス用途や実用性に最適化されており、機能性を重視した結果のフォルムと言えます。夜間の視認性やメーターの読みやすさを追求した結果、この形状が採用された背景もあります。
このデザインコンセプトの違いが、ユーザーの好みを大きく分ける要因となっています。
| 比較項目 | 丸目カブ | 角目カブ |
| 全体的な印象 | クラシック、レトロ、親しみやすい | モダン、シャープ、ビジネスライク |
| ヘッドライト | 円形 | 四角形(モデルにより多角形) |
| メーター周り | シンプル、円形基調 | 機能的、直線基調(燃料計付きが多い) |
| 主な支持層 | 趣味、ファッション性を重視する層 | 実用性、機能性を重視する層 |
| デザインの方向性 | 伝統、普遍性、愛嬌 | 機能性、視認性、現代性 |
実際の口コミや世間の評判
角目カブに関する実際の口コミや世間の評判は、賛否両論あるのが実情です。デザインの好みは個人の主観的な要素が強いため、評価が大きく分かれています。
否定的な意見としては、「カブらしくない」「愛嬌がない」「どうしてもダサい」「スクーターのように見える」といった声が聞かれます。これは、前述の通り、スーパーカブの伝統的な丸目のイメージを強く支持する層からの評価が中心です。
しかし、肯定的な意見も少なくありません。実用性を重視するユーザーからは「無駄がなくスマート」「機能的で使いやすい」「道具として優秀」と評価されています。また、そのシャープなデザインを「かっこいい」と感じる人や、丸目にはない無骨なスタイルが逆に「渋い」「通好み」と捉える層も確かに存在します。特に、他人とは違う個性を求めるライダーや、カスタムビルダーからは、素材としての面白さが見出されています。
このように、角目カブの評価は乗る人の目的や価値観によって異なり、決して一方的に「ダサい」と断定されているわけではなく、特定のニーズには強く応えるモデルであると言えます。
角目モデルの年式による特徴
一口に角目カブと言っても、登場以来、年式ごとにモデルチェンジが行われ、それぞれ特徴が異なります。代表的なモデルの変遷を把握することで、角目カブへの理解が深まります。
1982年~ スーパーカブ50SDX
角目デザインが初めて採用された初期のモデルです。「SDX」はスーパーデラックスを意味し、当時のカブ50としては最高の5.5馬力を誇る高出力エンジンを搭載していました。角目のデザインは、既存のスタンダードモデルとの差別化を図る上位モデルの象徴とされていました。
1986年~ スーパーカブ50カスタム
このモデルからセルスターターが標準で追加され、利便性が大きく向上しました。エンジン始動の手間が大幅に軽減された点は、特に頻繁に乗り降りするビジネスユースで高く評価されています。また、燃費性能もさらに追求され、当時の30km/h定地走行テスト値ではリッターあたり180kmという驚異的な低燃費を実現したとされています。メーター内に燃料計が搭載されたのもこのモデルからです。
2007年~ スーパーカブ50(FIモデル)
排気ガス規制の強化に対応するため、燃料供給方式が従来のキャブレターからインジェクション(FI)に変更されました。これにより、天候や気温に左右されにくい安定した始動性と、さらなる燃費効率の向上、環境性能の強化が図られました。外観上の大きな変更はありませんでしたが、中身は大きく進化しています。
2012年~ スーパーカブ50(AA04型)
デザインがより現代的に一新され、フレーム構造も見直されました。生産拠点が中国に移管されたモデルとしても知られています。エンジンには電子制御燃料噴射システム(PGM-FI)を採用し、燃費効率が格段に向上しました。メーターパネルも大型化され、燃料計が装備されるなど、日常使いの便利さも重視されています。タイヤサイズは従来の17インチが維持されました。
年式ごとの主な特徴は以下の表の通りです。
| 年代 | 主なモデル(型式例) | 特徴 |
| 1982年~ | スーパーカブ50SDX | 角目初期型。当時の高出力エンジン(5.5ps)を搭載。 |
|---|---|---|
| 1986年~ | スーパーカブ50カスタム (C50) | セルスターター、燃料計を標準装備。驚異的な燃費性能(当時)。 |
| 2007年~ | スーパーカブ50カスタム (AA01) | 燃料供給がインジェクション(FI)に変更。環境性能が向上。 |
| 2012年~ | スーパーカブ50 (AA04) | PGM-FI採用。デザインとフレームを一新。中国生産へ移行。 |
このように、角目モデルは時代に合わせて、主に実用面での着実な進化を続けてきました。
国内と海外での評価の違い
角目カブの評価は、日本国内と海外、特に東南アジアでは大きく異なります。この違いは、バイクに求める価値観の違いを如実に表しています。
日本国内では、スーパーカブに対して「レトロ」「おしゃれ」「趣味の乗り物」といった趣味性の高いイメージを持つ人が多く、伝統的な丸目デザインが強く支持される傾向にあります。そのため、実用性重視の角目デザインは「カブらしさがない」「商用車っぽい」として、一部のファンからは不人気とされることが多いです。
一方で、東南アジア諸国(タイ、ベトナム、インドネシアなど)では、バイクは生活に不可欠な「足」であり、家族や荷物を運ぶための「道具」としての側面が非常に強いです。そこでは、デザインの好みよりも、実用性、耐久性、積載能力、そして修理のしやすさといったコストパフォーマンスが最も重要視されます。
角目カブのシンプルで機能的なデザインと頑丈な作りは、まさに現地の過酷な使用環境やニーズに合致しており、ビジネスユースを中心に非常に高く評価されています。地域によっては、角目のデザインがむしろ「モダン」で「力強い」と受け止められ、丸目モデルを凌ぐほどの人気を誇るケースもあります。
スーパーカブの角目、ダサい評価を覆す魅力

- 角目モデルの隠れた魅力とは
- 「渋い」と再評価される理由
- カスタムベースとしての可能性
- 角目から丸目化するカスタム
- 中古市場での価格と選び方
- スーパーカブの角目 ダsい評価は本当か
角目モデルの隠れた魅力とは
角目カブの魅力は、一般的に指摘されるデザイン面だけでなく、その優れた実用性と機能性にこそあります。もともと新聞配達や郵便配達など、過酷なビジネスバイクとしての使用を想定して設計されているため、日常使いでの利便性が非常に高い点が最大の魅力です。
たとえば、角目カブの多く(特に「カスタム」グレード)はセルスターターを標準装備しています。これにより、キックスタートに慣れていない人や、エンジンが冷えてかかりにくい冬場でも、ボタン一つで簡単に始動できます。頻繁にエンジンを停止・始動する配達業務などでは、この機能は絶大なメリットとなります。
また、燃費性能も丸目モデルに引けを取らず、非常に優れています。特に2007年以降のインジェクション(FI)モデルや、2012年以降のAA04型では燃費効率がさらに向上しており、リッター100km以上の走行が可能なモデル(WMTCモード値ではなく、旧来の定地燃費値データに基づく場合)もあります。ガソリン代を節約したい人にとっては大きなメリットです。
さらに、モデルによっては4速ミッションを搭載しているため、従来の3速モデルと比べて低速域でもスムーズな加速が可能で、坂道や荷物積載時でもしっかりとしたパワーを発揮してくれます。
大型で見やすいメーターパネルや、標準装備されていることが多い燃料計は、日常の足として使う上で非常に便利な機能です。燃料の残量を気にしながら走るストレスがない点は、大きなアドバンテージです。これらの実用的な機能こそが、角目モデルの隠れた魅力と言えます。
「渋い」と再評価される理由
近年、一時は「ダサい」とも言われた角目カブのデザインが、「渋い」として再評価される動きもあります。丸目カブが持つクラシックで親しみやすい雰囲気とは対照的に、角目カブの直線的で無骨なデザインが、特定の層に強く支持されています。
その飾り気のないストイックな印象が、「機能美」として捉えられているのです。業務用途を意識した無駄のないスタイルは、下手に装飾を施すよりもシンプルでスマートな「渋さ」を感じさせます。1980年代から90年代にかけてのデザインは、現代から見ると独特の「レトロフューチャー」感があり、それが新鮮に映るという側面もあります。
また、丸目が主流であるカブの世界において、あえて他人とは違う角目モデルを選ぶという視点からも、角目カブの価値が見直されています。「ダサい」というイメージが先行していた分、その無骨さが逆に際立った個性として魅力的に映るようになっていると考えられます。ビンテージ好きやミリタリーテイストを好む層、あるいは「玄人好み」のアイテムを求める人々から、その独特の存在感が評価されています。
カスタムベースとしての可能性
角目カブは、その独特な形状から、個性的なカスタムのベース車両としても高い可能性を秘めています。丸目モデルとは異なるシャープなデザインを活かすことで、丸目ベースとは一線を画す独自のスタイルを作り出すことが可能です。
角目モデル向けのカスタムパーツも意外に多く流通しており、オーナーの好みに合わせて様々な改造が楽しめます。カスタムの方向性としては、以下のような例が挙げられます。
ミリタリースタイル
角目の無骨な雰囲気は、オリーブドラブやサンドベージュといったミリタリーカラーの塗装と相性抜群です。ナックルガードや大型のキャリア、サイドバッグなどを装着することで、タフな印象を強調できます。
オフロード・アドベンチャースタイル
ブロックタイヤの装着、フロントフェンダーのアップタイプへの交換、ハンドル周りの変更(バーハンドル化)などで、オフロードテイストを強めるカスタムも人気です。
ストリート・チョッパースタイル
不要なパーツ(リアキャリアやレッグシールドなど)を取り外し、ローダウンしたり、シートを薄型のものに変更したりすることで、シンプルでスッキリとしたストリート系のスタイルに仕上げることもできます。
万人受けしないデザインだからこそ、カスタムによってその印象が大きく変わります。自分だけの一台を作り上げる素材として、角目モデルは非常に面白い存在と言えます。
角目から丸目化するカスタム
角目カブのオーナーの中には、「車体やエンジンの状態は良いが、デザインはやはり丸目が好きだ」と感じる人も少なくありません。そうしたニーズに応える形で、角目モデルのヘッドライト周りを丸目に変更する「丸目化カスタム」も一部の愛好家の間では定番となっています。
このカスタムの最大のメリットは、中古市場で比較的安価に手に入りやすい角目カブの車体をベースにしながら、人気の高い丸目デザインのスタイルを実現できる点にあります。
具体的な方法としては、市販されている「角目→丸目化キット」を利用する方法が手軽です。また、知識や技術がある場合は、C50(丸目スタンダード)やC90(丸目デラックス)などの純正丸目用ライトケースやフロントフォークカバー、ステーなどを流用してDIYで交換する方法もあります。
ただし、年式やモデルによっては配線の加工やステーの自作が必要になる場合があるため、難易度はやや高めです。多少の手間や加工が必要になるデメリットはありますが、角目モデルの車体価格の安さを考慮すれば、コストを抑えて理想のスタイルを手に入れる有効な手段となり得ます。
中古市場での価格と選び方
角目カブを中古で探す場合、丸目モデルに比べて人気が低い分、比較的リーズナブルな価格で手に入れやすい傾向があります。この点は、コストパフォーマンスを重視する人や、カスタムベースの車両を安価に手に入れたい人にとって大きなメリットです。
状態の良い車両であっても、同年式の丸目の人気モデル(特に国内生産のFIモデルなど)と比較すると、価格が抑えられているケースが多く見られます。
中古車を選ぶ際の注意点は、年式と車両の状態をしっかり確認することです。特に角目カブは、新聞配達や郵便配達、出前などのビジネス用途で酷使されてきた個体も多いため、走行距離の長さには注意が必要です。
ただし、スーパーカブ自体が非常に耐久性の高いバイクであるため、走行距離が多くても適切にメンテナンス(定期的なオイル交換など)されていれば問題ない場合も多いです。購入時には、エンジン始動時の異音がないか、マフラーからの白煙や黒煙はないか、オイル漏れはしていないかなど、エンジンや車体フレーム(特に錆)の状態を細かくチェックすることが大切です。可能であれば、過去のメンテナンス履歴も確認できると安心です。
カスタムベースとして安価な車両を探す場合でも、フレームやエンジンといった基本部分に深刻なダメージがないかをしっかりと見極めましょう。
【総括】スーパーカブの角目はダサい?
これまでの情報をまとめると、「スーパーカブの角目はダサい」という評価は、あくまで伝統的な丸目デザインと比較した際の一面的なイメージに過ぎないことが分かります。
- 「スーパーカブの角目ダサい」は主に伝統的な丸目デザインとの比較から生じる
- カブ=丸目という強いイメージが不人気の一因
- 角目デザインはビジネスライクで無骨な印象を与える
- 一方でシャープで現代的と評価する声もある
- 実際の口コミは賛否両論で「渋い」「かっこいい」という意見も多い
- 角目と丸目ではデザインの方向性が根本的に異なる
- 角目モデルは年式によって装備や性能が進化している
- 初期のSDXからカスタム、AA04型まで特徴は様々
- 日本国内では不人気でも東南アジアでは実用性が高く評価されている
- セルスターター搭載モデルが多く利便性が高い
- 燃費性能は丸目モデルに引けを取らない
- 無骨なデザインが「渋い」と再評価されつつある
- カスタムベースとしての可能性が豊富
- 丸目化カスタムのベース車両としても人気
- 中古市場では価格が比較的安価でコストパフォーマンスに優れる
- 業務用で使われた個体も多いため中古車選びは状態確認が鍵
