スーパーカブでの釣行は、その圧倒的な機動力と経済性から、多くの釣り人にとって非常に魅力的な選択肢です。
自動車ではアクセスできないような未開のポイントへも、カブなら到達できるかもしれません。
しかし、いざスーパーカブ 釣り仕様を実現しようとすると、最も悩ましいロッドホルダーの選び方や、クーラーボックスを含めた道具の積載方法など、解決すべき課題も多くあります。
導入してから失敗や後悔をしないために、知っておくべきメリット デメリットとは何でしょうか。
この記事では、あなたのカブを最強の釣りマシンに変えるためのカスタムのポイント、さらにはカブでの釣りに最適なおすすめ釣竿の選び方まで、知りたい情報を幅広く、そして深く掘り下げて解説していきます。
- スーパーカブを釣りに使う具体的なメリットとデメリット
- 釣り仕様に欠かせないロッドホルダーの種類と選び方
- クーラーボックスやタックルを運ぶための積載アイデア
- カブでの釣行に適したおすすめ釣竿の特徴
なぜスーパーカブは釣り仕様に最適なのか

- 釣行の機動力が最大の魅力
- 釣り仕様ならではのメリット・デメリット
- 釣り場開拓のポイント
- 燃費と維持費の優位性
釣行の機動力が最大の魅力
スーパーカブが釣りに最適な最大の理由は、その圧倒的な機動力にあります。自動車では進入が難しい狭い道や、駐車スペースが確保されていない釣り場へも容易にアクセスできるためです。
例えば、漁港内の細い路地、車がすれ違えないような農道、サーフ(砂浜)へ続く未舗装路、あるいは山間部の渓流ポイントなど、車ではためらってしまうような場所でもカブなら進んでいけます。特に車重の軽さ(モデルによりますが100kg前後)と足つきの良さは、不安定な路面でもライダーに安心感を与えてくれます。
気になるポイントを見つけたらすぐに停めて竿を出せるフットワークの軽さは、自動車での釣行とは比べものになりません。自動車の場合、まず駐車可能な場所を探す必要があり、ポイントから離れた場所に停めざるを得ないことも多いです。スーパーカブであれば、釣り場のすぐそばに停められる場面が格段に増えます。
特に、場所を次々と移動しながら魚を探す「ラン&ガン」という釣りスタイルにおいて、スーパーカブの機動力は最大の武器になると考えられます。短時間で広範囲を探る必要があるバス釣りや、回遊を待つアジング・メバリングなどで、その真価を発揮するでしょう。
釣り仕様ならではのメリット・デメリット
釣り仕様のカブには多くの利点がありますが、一方でいくつかの欠点も存在します。導入してから後悔しないためにも、メリットとデメリットの両方を理解しておくことで、ご自身の釣りスタイルに本当に合っているかを正しく判断できます。
最大のメリットは、前述の通り機動力の高さです。これに加えて、燃費が非常に良いため、釣行にかかる交通費を大幅に節約できる点も挙げられます。また、車両が軽量で足つきが良いため、砂利道やぬかるみといった悪路での取り回しも比較的容易です。万が一スタックしそうになっても、車体を支えたり、押し引きしたりするのが自動車に比べて格段に楽です。
一方、デメリットとしては積載量の限界が挙げられます。多くの荷物(大型クーラーボックス、複数のタックルボックス、ウェーダーなど)を運ぶには工夫が必要です。また、天候の影響を直接受けるため、雨や強風、冬の寒さへの対策は必須となります。特に冬場の早朝は気温が低く、ハンドルカバーや防寒ウェアなしでの走行は厳しいものがあります。長距離の移動では自動車に比べて疲労が溜まりやすい点も考慮すべきです。
メリットとデメリットの比較
| 項目 | メリット | デメリット |
| 機動力 | 非常に高い。狭路や悪路も得意。 | – |
| 経済性 | 燃費が良く、維持費も安い。 | – |
| 積載量 | – | 限界がある。大型装備は工夫が必要。 |
| 快適性 | – | 天候(雨・風・寒さ)の影響を直に受ける。 |
| 疲労度 | – | 自動車に比べ、長距離移動での疲労が大きい。 |
| 駐車 | 容易。スペースに困ることが少ない。 | – |
これらのデメリットは、適切な装備(リアボックス、サイドバッグ、レインウェア、防寒具)を揃えることで、ある程度軽減することが可能です。
釣り場開拓のポイント

カブの機動力を活かせば、これまで知らなかった新しい釣り場を効率的に開拓できます。自動車では見過ごしていた、あるいはアクセスを諦めていた場所が、カブにとっては絶好のポイント候補となるからです。
例えば、駐車スペースがないために釣り人が少ない堤防や、車道から少し入った場所にある野池、河川敷のダート道を進んだ先にあるポイントなどが狙い目です。自動車では「駐車場所がないから」と諦めていた場所も、カブならわずかなスペースに停めてエントリーできる可能性があります。
また、Uターンや方向転換が容易なため、気になる脇道や小道にも積極的に入っていくことができます。「この先は行き止まりかもしれない」という不安が少なく、非常に「手返し良く」ポイントを探ることが可能です。
実際にカブで走行しながら、「ここなら停められる」「この小道は入っていけそうだ」という視点で周囲を観察すると、多くの新しい発見があるはずです。ただし、私有地や立ち入り禁止区域、農耕地などには絶対に入らないよう、地域のルールやマナーを守って楽しむことが最も大切です。
燃費と維持費の優位性

経済性の高さは、スーパーカブを釣りの相棒にする上で非常に大きな魅力となります。特に燃費性能は他の交通手段を圧倒しており、釣行回数が増えるほどその恩恵を実感できます。
情報によれば、スーパーカブ110は60km/L程度の燃費性能を持つとされています。仮にガソリン価格が1Lあたり170円だとしても、100km走行するのに必要なガソリン代は300円以下で済む計算です。これは、一般的な乗用車(燃費15km/Lと仮定)と比較して4分の1程度のコストです。
また、車両本体の価格が比較的安価であることに加え、税金や保険料といった年間の維持費も原付二種(51cc~125cc)は安価に抑えられます。このように、初期費用とランニングコストの両方を低く設定できるため、釣りを長く楽しむための強力なパートナーとなるでしょう。
年間維持費の目安(比較)
| 項目 | スーパーカブ110 (原付二種) | 250ccバイク (軽二輪) | 軽自動車 |
| 軽自動車税 | 2,400円 | 3,600円 | 10,800円 (標準) |
| 自賠責保険 (12ヶ月) | 6,910円 | 7,100円 | 17,540円 |
| 合計 (目安) | 9,310円 | 10,700円 | 28,340円 |
※自賠責保険料は2023年4月時点の情報に基づきます。任意保険料やガソリン代、メンテナンス費用は含まれていません。
表からも分かる通り、特に軽自動車と比較した場合、年間の固定費だけでも大きな差が生まれます。
スーパーカブ釣り仕様の実践ガイド

- 釣り仕様カスタムの第一歩
- 最重要アイテム ロッドホルダー
- ロッドホルダーの自作アイデア
- クーラーボックスの積載方法
- 持ち運びやすいおすすめ釣竿とは
- あると便利な関連ギア
- 自分だけのスーパーカブ 釣り仕様を楽しもう
釣り仕様カスタムの第一歩
釣り仕様へのカスタムは、まず「何を積むか」と「どう積むか」を明確にすることから始まります。ご自身の釣りスタイルに必要な道具(竿、クーラー、タックルボックスなど)の量や大きさに合わせて、最適な積載方法を選ぶ必要があるためです。
例えば、リアキャリアに大型のボックス(リアボックス)を設置するのが最も一般的で、積載量を大幅に向上させられます。雨具やタックルボックス、小型クーラー、バケツ類をまとめて収納することが可能です。リアボックスは、施錠可能なタイプを選ぶと、釣り場でバイクを離れる際の盗難防止にも役立ちます。
また、スーパーカブ特有のセンターキャリア(ベトナムキャリア、通称ベトキャリ)を活用するのも良い方法です。「ベトキャリバッグ」のような専用品を使えば、車体の重心近く(シートとステアリングの間)に荷物を配置できます。ここには、ルアーケースや飲み物など、頻繁に出し入れする小物を入れると便利です。重量物をリアに集中させるのを避け、走行安定性の向上にも寄与します。
最重要アイテム ロッドホルダー
オートバイで釣りに行く際、最も悩ましいのが釣り竿(ロッド)の運搬であり、ロッドホルダーは必須アイテムと言えます。釣り竿はデリケートで折れやすく、同時に長さもあるため、安全かつ確実に運搬する工夫が求められるからです。特にカーボン製のロッドは、強い衝撃や無理な力が加わると簡単に折れてしまいます。
市販品では、ケムシファクトリーやDRCといったメーカーからスーパーカブやクロスカブ専用のロッドホルダーが販売されています。これらは車体のサイド(リアショックアブソーバー付近)やリアキャリア周辺に取り付けるタイプが主流です。
選ぶ際のポイントは、ご自身の竿の仕舞寸法(収納時の長さ)や本数に対応しているか、そしてリールを付けたまま積載できるかなどです。ケムシファクトリーの製品のように、米軍のMILスペックに採用されるファブリックを使用し、モールシステムによって釣行時だけ簡単に着脱できる高機能なタイプも便利です。
他にも、フロントのレッグシールド付近に固定するタイプの長尺ラック(M&Fカビィ製など)もあり、これは特に長い2ピースロッドなどを運ぶ際に有効な選択肢となります。
ロッドホルダーの自作アイデア
市販品がご自身のスタイルに合わない場合、あるいはコストを抑えたい場合、ロッドホルダーを自作する方法も多くのカブユーザーに選ばれています。自作の最大のメリットは、ご自身の竿や積載スタイルに合わせて、低コストで最適なホルダーを作れる点にあります。
最も一般的な自作方法は、ホームセンターで入手可能な「雨樋用の塩ビパイプ」を活用するものです。
塩ビパイプ式ホルダーの作成例
- 材料の準備:
- 塩ビパイプ(直径65mmなど、ご自身の竿のリールフットやグリップが入る太さ)
- 塩ビパイプ用の蓋(エンドキャップ)
- 塩ビパイプ用接着剤
- 固定用金具(「立カンバンド」など)とボルト・ナット
- タイラップ(結束バンド、耐候性の高い屋外用が望ましい)
- 緩衝材(ゴムクッション、スポンジなど)
- 加工:
- 塩ビパイプを、ご自身の竿の仕舞寸法よりも少し長めにカットします。
- パイプの底に蓋を接着剤で固定します。この際、雨水が抜けるよう、蓋の中心に小さなドリル穴を開けておきます。
- (オプション)リールを付けたまま収納したい場合は、パイプの上部にリールフットが通る切り込みを入れます。
- 車体への固定:
- 下側はリアショックアブソーバーのボルトに「立カンバンド」などの金具を使って固定します。
- 上側はリアキャリアの側面にタイラップで固定します。
- 竿を傷つけないよう、パイプの内部(特に底)や縁にゴムクッションを貼ります。
注意点として、走行中の振動でパイプや固定部が破損するリスクを避けるため、タイラップはきつく縛りすぎず、あえて「遊び」を持たせることが推奨されています。ギチギチに固定すると、振動がダイレクトに伝わり、タイラップやパイプ本体が割れる原因となる可能性があります。
クーラーボックスの積載方法

釣果を持ち帰るために不可欠なクーラーボックスは、リアキャリアへの積載が基本となります。カブの積載スペースは主にリアキャリアに集中しており、重量のあるクーラーボックスを安定して固定するのに最も適しているからです。
最も簡単な方法は、リアキャリアに直接小型のクーラーボックスを載せ、荷掛けゴムやツーリングネットで固定することです。しかし、この方法は走行中の振動でクーラーボックスがずれたり、最悪の場合脱落したりするリスクが伴います。
より安定性と安全性を高めるためには、大型のリアボックス(通称ホムセン箱やGIVIなどのバイク専用品)をキャリアにボルトで強固に固定し、その中に小型のクーラーボックスを収納する方法がおすすめです。この方法なら、クーラーボックスが外部に露出しないため、盗難のリスクを減らせるほか、雨や泥汚れからも守れます。
リアボックス自体をクーラーボックス代わりにする(氷を調達して入れる)方法もありますが、専用のクーラーボックスを別途積載する方が保冷力や衛生面では有利と考えられます。釣りのスタイルに応じて、ハードタイプと、使わないときは折りたためるソフトタイプを使い分けるのも良いでしょう。
持ち運びやすいおすすめ釣竿とは
カブでの釣行には、仕仕舞寸法が短い「パックロッド」や「振り出し竿」が最適です。カブの積載スペースは限られており、一般的な2ピースロッド(2本継ぎ)では仕舞寸法が1mを超えるケースが多く、前述のロッドホルダーなしでは運搬が困難になるためです。
パックロッドは、3ピースや4ピース(3本継ぎや4本継ぎ)、多いものでは5ピース以上に分割できるため、仕舞寸法が非常に短く(50cm~80cm程度)なります。これにより、リアボックスやサイドバッグの中にすっきりと収納できます。近年は技術が進歩し、パックロッドでも2ピースロッドと遜色ない性能を持つモデルが増えています。
シーバスやサーフ(砂浜)用の長い竿(9フィート~10フィートクラス)でも、3ピースモデルが各メーカーから販売されており、これらを選ぶことでカブでの積載が格段に容易になります。
また、古くからある振り出し竿も、コンパクトに収納できるためカブとの相性は良好です。これらの竿を選ぶことで、車体外部に専用のロッドホルダーを取り付けなくても釣行が可能になります。
竿のタイプ別特徴(カブ積載視点)
| 竿のタイプ | メリット | デメリット |
| パックロッド (3ピース以上) | 仕舞寸法が非常に短い。 リアボックス等に完全収納可能。 | 継ぎ数が多く、準備・片付けに少し手間がかかる。 |
| 振り出し竿 (テレスコピック) | 準備・片付けが迅速。 コンパクト。 | パックロッドや2ピースに比べ、性能面でやや劣る場合がある。 |
| 2ピースロッド | 性能や種類の選択肢が最も豊富。 | 仕舞寸法が長く(1m超)、積載に専用ホルダーがほぼ必須。 |
あると便利な関連ギア
ロッドやクーラー以外にも、カブでの釣りを快適にする便利なアイテムがいくつかあります。積載量が限られるカブだからこそ、多機能なアイテムや専用品を活用することで、快適性や安全性が向上します。
例えば、ガソリン携行缶ポーチが挙げられます。これは、ガソリンスタンドが少ない山間部の渓流や、早朝・深夜の釣行時にガス欠の不安を解消するためのアイテムです。特にスーパーカブのタンク容量はモデルによりますが4L前後と大きくないため、保険として1L程度の携行缶があると安心感が大きく異なります。市販品には、クッション材入りで車体に安全に固定できるものがあります。
また、前述の通り、センターキャリアに取り付ける「ベトキャリバッグ」は、タックルボックスや飲食物、スマートフォンなど、頻繁に出し入れする小物の収納に役立ちます。これにより、釣りの最中にルアーを交換したい時など、リアボックスをいちいち開ける手間が省けるようになります。
冬場の釣行では、ハンドルカバー(大阪繊維資材製など)が非常に有効です。指先がかじかむと釣りの操作に支障が出ますが、ハンドルカバーがあれば素手に近い感覚で操作しつつ、寒さを大幅に軽減できます。
【総括】自分だけのスーパーカブ釣り仕様を楽しもう
- スーパーカブ 釣り仕様は機動力が最大の魅力
- 車で入れないポイントもカブならアクセス可能
- ラン&ガンスタイルの釣りとは特に相性が良い
- 圧倒的な燃費性能で釣行コストを削減できる
- メリットだけでなく積載量や天候のデメリットも理解する
- カスタムの基本はリアキャリアへのボックス設置
- 釣り仕様にロッドホルダーは必須のアイテム
- 市販のロッドホルダーは着脱可能なタイプが便利
- ロッドホルダーは雨樋パイプで自作も可能
- 自作時は振動対策と安全な固定が鍵
- クーラーボックスはリアボックス内への収納が安定的
- おすすめ釣竿は仕舞寸法の短いパックロッドや振り出し竿
- 3ピース以上の竿ならリアボックスにも収納できる
- ガソリン携行缶やベトキャリバッグも便利なギア
- マナーを守り安全運転でカブでの釣りを楽しむ
